「権力」に操られる検察 (双葉新書)
村木厚子・厚生労働省キャリア官僚の「無罪裁判」についても詳しく触れている。なぜ村木さんが逮捕・起訴されてしまったのか。元検察の幹部だった著者は、「けもの道」と称した検察と小泉政権の裏取引を明かしながら、その舞台裏を分析。一審の大阪地裁では検察側の証人まで村木氏の関与を否定し、裁判では検事の提出した多くの検面調書を信用できないとして不採用されるなど、検察のずさんな捜査・取り調べにはなんとも驚かされる。検察にいた人物だからこそわかる「組織の論理」によって鈴木宗男、小沢一郎事件など5つの事件が解説されているが、こんな身勝手な論理がまかり通っていることに背筋が寒くなる。巻末のホリエモン、宗男議員との対談は読みごたえあり。
ドキュメント検察官―揺れ動く「正義」 (中公新書)
あれだけ世間を騒がせたのに、刑が軽いんじゃないとか、どうして不起訴になるのとか、感じることがあります。しかし法律に従えば、「仕方がない」という検察官のジレンマがよく伝わってくる本です。
また新聞などに発表される判決文は読む気になれない難解なものですが、裁判員制度に向けて、分かりやすくしようという試行錯誤は、いい方向に向かっているなと感じました。