Water for Elephants
面白かった。大恐慌時代を背景に、殺人、復讐、愛をテーマにしたシーンの展開は映画を観るような迫力だ。ちょと不器用だが優しく正義感の強いジェイコブや、とんでもないビョーキ男だが、セックスアピール満点のオーガストといった人物たちの魅力にも圧倒される。
なんといっても、取材に四か月半をかけたという、昔のサーカスの裏事情が新鮮だ。たとえば団員たちの身分による厳しい待遇の差。サーカス列車の車両の順番はヒエラルキーそのもので、前が裏方たちの貨車なら、後ろは、パフォーマー、興行主といった格上の者が乗る。食事をする場所も裏方とパフォーマーとではきっちりと仕切られる。
みずからも熱心な動物愛護運動家である著者が強調したかったのは、動物たちの過酷な運命ではないか。原題の『象に水を』には、動物たちへの深い愛惜の念がこめられていると思う。
Water for Elephants
面白かった。大恐慌時代を背景に、殺人、復讐、愛をテーマにしたシーンの展開は映画を観るような迫力だ。ちょと不器用だが優しく正義感の強いジェイコブや、とんでもないビョーキ男だが、セックスアピール満点のオーガストといった人物たちの魅力にも圧倒される。
なんといっても、取材に四か月半をかけたという、昔のサーカスの裏事情が新鮮だ。たとえば団員たちの身分による厳しい待遇の差。サーカス列車の車両の順番はヒエラルキーそのもので、前が裏方たちの貨車なら、後ろは、パフォーマー、興行主といった格上の者が乗る。食事をする場所も裏方とパフォーマーとではきっちりと仕切られる。
みずからも熱心な動物愛護運動家である著者が強調したかったのは、動物たちの過酷な運命ではないか。原題の『象に水を』には、動物たちへの深い愛惜の念がこめられていると思う。
Water for Elephants
90歳(あるいは93歳)になり老人ホームで暮らす気難しい老人、Jacobが、自分の人生を回想する形で物語りは始まる。あと10日で名門コーネル大の獣医学部を卒業することになっていたJacobに、人生を変える悲劇が訪れ、Jacobはとあるサーカス団で動物の世話係として働くことになるが・・・。
Jacobのサーカス団での様々な経験にどんどんと引き込まれていく一方で、時々物語は93歳のJacobに戻るのだけれど、この戻り具合がなんとも絶妙のタイミングでニクイ!サーカスでの逸話や恋愛模様はそれだけで魅力的なものだけれど、私は「老いたJacob」が、半ばあきらめながら、でもあきらめきれずに時に憤りながら、「老いるということについて」語るのにも結構惹かれた。老いって、怖いなと思いつつ。
巻末インタビューにもあるように、著者がじっくりとサーカスについてリサーチしたことをうかがわせるエピソードや描写があり、説得力があるがゆえに、勢いというか、力強さがあると思う。加えて、JacobとMarlenaの関係も上手く描かれていて、胸キュンポイントもばっちり!
泣けるところでは泣き、笑えるところでは笑わせてくれる、そしてまた、人生について、老いについて、愛について、考えさせてくれる作品。
英語は、「簡単」と聞いていたけれど、確かに一文は短くて単純な文は多いけれど、サーカス用語(?)にとまどったのと、会話文がカジュアルで一般的な日本人英語学習者には分かりづらい(いわゆる、1930年代の労働者階級の話し言葉なので・・・)という難点はあると思う。この時代特有の語彙・表現などもでてくるので、その当たりは辞書をひく必要がでてくるかも・・・。でも、文法的に難しいということはなかった。
ロバート・パティンソンの主演が決まったからという理由だけで読んだ本だったのだけれど、とてもいい作品だったので、なんか得した気分!