トータル・リコール (文春文庫)
~面白かった!!"偽の現実"がテーマのP・K・ディック(アンドロイドは電気羊の夢をみるかの作者映画にもなった「ブレードランナー」)の名作短篇をもとに成った映画の、人気SF作家による長篇化。ってことで,映画をもとに長編化した事が気にくわなくて,全く期待してなかった。前半は,映画そのままで,後半の異星人のくだりがよかった。これをそのまま映画化~~して欲しかったな。映画自体は,SFというより,アクション映画になってしまっていた。~
トータル・リコール [DVD]
何と言ってもP・バーホーベン監督のSF感とば暴力大好き描写が溢れています。同じ暴力描写でも北野映画のそれとは違って劇画的な描写が相違点です。それとS・ストーンの魅力にもやられました。だから観る時も最近はS・ストーンが殺されるところまでしか見ていないことがあります。そして悪役にはM・アイアンサイド。トップガンの教官役も演じてましたが、かなりわがままな性格で「ロボコップ」の悪役もオーディションで落とされましたがバーホーベン監督のラブコールで今回は起用されました。
シュワルツェネッガーも当時は彼の黄金期。「T1」の頃のようなセリフの少ない役でもなく果敢に新しいことに挑戦していました。また映画製作の「カロルコ」もこの頃は黄金期で次から次へと制作費の大きい映画を作っていました。制作費がふんだんにあったので細かいところまでSFチックになっています。火星に着けば「Mars Today」が売っていました。
原作は読んでないので分かりませんが、当時流行った「アイデンティティ」をテーマを巧みに取り入れていました。ストーリーはどんでん返しやひょっとしたらこれは現実でないかもという思わせぶりがあったりして、凝っていたのですがちょっと話にのめり込めなかった気がしました。
トータル・リコール [DVD]
P・K・ディックの短編小説「追憶売ります」を元ネタにしたSF大作。
美人の奥さん(まだあんまり有名じゃなかった頃のシャロン・ストーン)や仲間と平和に暮らしていた主人公クエイド(シュワちゃん)だったが,何故か行ったこともない火星の夢に悩まされていた。しかしある日,夢の世界を体験できる装置を試したことがきっかけで,自分の記憶が作り物であることに気付き,本物の記憶を求めて火星を目指す・・・
セクシー&バイオレント,そしてアイロニーに満ちた作品を得意とするポール・バーホーベン監督ですが,本作では彼の得意技は抑えめに,割とまっとうな映画作りに専念しています。当時話題になった鼻の穴から○○を出すシーンを始めとする特撮もなかなか。私的には「超お気に入り」というほどではないのですが,ハイレベルで完成度の高いSF作品であることは間違いありません。
マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)
映画を観てから、この本を読んだ人が多いせいか評価が低いですね。
でもこの本はお勧めです。マイナス評価を付ける理由が無い。
マイノリティ・リポート以外の作品も面白いし、ディックファンなら読んで損なし。
ライフログのすすめ―人生の「すべて」をデジタルに記録する! (ハヤカワ新書juice)
序文をビル・ゲイツが書くぐらい、IT業界では有名人であるゴードン・ベル氏が、人生のすべてを記録し、「完全記憶(トータル・リコール(原題)」として利用することの可能性や実現方法を語る。
この人が70歳を超えていることがすごいと思うが、言っていることは、全くまとも。というか、当然のことのように思う。
PCの性能やストレージの容量が劇的に向上しているこの時代。今まで泣く泣く処分してきた「思い出」をすべて保存していくことは、そんなに遠くない未来に可能になるという著者の言葉は、別にSFの世界ではなく、すでに、そういった時代は到来しているのだと思う。
ただし、それが万民に提供されるのはまだ先のような気がする。どれだけ技術が向上し、ストレージのコストが下がろうと、世の中の人全員がそのメリットを享受できているわけではない。先進国の中でも、ネットブックすら買えない貧困層が存在するのだから。このまま性能が向上してもダメで、世の中がそうなるには、それ以外の何か劇的な変化が必要なような予感がする。そうでないと、結局、経済的に豊かな層だけが享受できるサービスにしかならず、人類全体の記憶にはならないのではないか。
なんて、天邪鬼なので思ったりもするが、自分自身はとっても興味のある分野。生きていると思い出したくないこともたくさんあるけど、それも自分の人生の一部。それが記録されているのだとすれば、年齢を重ねていくことも怖くない。むしろ、年を取ることが豊かな人生の記録を積み重ねることと思えるようになるかもしれない。
10年後にはどこまで実現できているのだろう。楽しみだ。
それとともに、今、自分にできることはなんだろう?まずは紙のデジタル化かな。