バリ・ドリーム
ハワイ、タイ、ベトナムなどのCDも素晴らしかったが、バリには特別な思い入れがあるらしく、本作もク−ルなアンビエント感を持たせながらも、聞くほどに懐かしさや暖かさがじわっと伝わってくる。フィールド録音が主体らしいが、ガムランの響きがすぐ近くで鳴る感じや歌声や昆虫の音などがダブ・エフェクトと混じりながら心に響くと、“はっ”とさせられる。この辺りはミックスの妙ということだろう。バリや他のアジアを旅するには最高のBGMになりうるはずだ。
他の癒し系CDとは1線を画する久保田麻琴ならでは手法には脱帽。
“音の錬金術師”の真骨頂、ここにあり。
スピリット・オブ・ヒーリング~バリ
哀愁感のあるアジアンなバリ、というところが巷に溢れる普通のガムランCDとの
大きな違いでしょう。
音数は少なめ、隙間たっぷり。その分空気感が感じられます。
ガムランの不思議な倍音の響きの間に虫や鳥の声、水や風の流れを感じさる。
暑い夏、湿った梅雨には清涼感を与え、寒い冬には南の島の夢を届けます。
あのサウダージ感はバリの要素だけではなく、ジャワの要素が混じってるからなのか。
解説(細野晴臣)にあるバリのボサノヴァ的解釈というのも、言い得て妙。
すばらしい。
次作のバリ・ドリームも楽しみです。
スパ アジア
タイトルは癒し系ですが、内容は濃密で超クールなアンビエント。久保田麻琴のチルアウトなマスターピースがついに届いた。
蒸し暑い夏に良し、淋しく長い冬に良し、、、聞くものをここでないどこか遠くのパラダイスに連れて行ってくれる魔法のCD♪。感謝。
世界の音を訪ねる―音の錬金術師の旅日記 (岩波新書)
ワールド・ミュージック界の仕掛け人が、最近流行のブラジル北東部(ノルデスチ)の音楽や、モロッコのグナワ音楽を追い、現地を訪ねて音楽と触れ合う、非欧米圏の音楽好きにはたまらない上質の音楽ルポだ。また所々に散りばめられた直感的な指摘もなかなか鋭い。例えば、インドネシア・スンダ地方(ジャワ島西部)のポップ・スンダと日本の歌謡曲のメロディが類似しているのは、日本統治時代に双方の音楽関係者が交流したからではないかとか、関西弁が抑揚の変化に富んでいるのは、古代より渡来人が多く、彼らの唄うような四声を粋に感じた畿内の人々が、一種のシノワズリとしてその抑揚をまねたためではないかとの指摘には、なるほどと思った。