
くろふね (角川文庫)
佐々木氏の著作は時代に翻弄されつつも、そのなかで自己を見失わない人物を丹念に描いたものがおおい。この作品もそう。開国に向けて米国の黒船が浦賀沖に現れる。そのとき、日本はどうしたのか?それを、奉行所の与力という、言ってしまえば「小役人」の目で丹念に描いている。しかし、主人公は自らの立場に呻吟しつつも、時代の節目を的確に捉えている人間で、非常に魅力ある人物だ。幕末明治の大人物ではなく、あえて与力を取り上げ、そこから黒船ショックを丹念に描いているのはなかなか新鮮。
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