幻仔譚じゃのめ 5 (少年チャンピオン・コミックス)
朝灯の友達、紗矢が巻き込まれた事件の、後半から始まります。
どこにも悪意はありませんでした。
紗矢が巻き込まれたのは、彼女の優しさ故でした。
皆、それぞれの立場で、愛するものを守るための努力をしていました。
悲しいけれど、爽やかな終わり方です。
そして、紗矢は、朝灯と邑の理解者となります。
やはり、躊躇いなく。
他の不思議な話の中にも、優しさが溢れています。
誰も元々悪意なんかないんだという思いがこもった、第五巻です。
幻仔譚じゃのめ 3 (少年チャンピオン・コミックス)
朝灯は万屋春兎に、ずっと一緒にいて欲しいと懇願します。
春兎も、好きな者を守りたいと切望します。
邑は、母の再婚後、守りたいものが増えたと自覚します。
春兎にとっても邑にとっても、躊躇なき理解者である朝灯は、どうしても守りたい人となっていました。
春兎は、守りたい人々が居る伊原家に同居することを決心します。
そして後半では、物語の本筋ともいえる、新たな展開が始まります。
ターニングポイントともいえる第三巻です。
幻仔譚じゃのめ (1) (少年チャンピオン・コミックス)
成人向けではありません、念のため。
しかし「妖艶もののけバトル!」(裏表紙)のアオリは伊達じゃない。
この作家の線は独特の艶やかさがある。
キャラクターの表情は繊細で、抒情感にあふれている。
背景も緻密に書き込まれ、時に幻想的、時に不気味に、物語を盛り上げる。
以下ストーリー概要。
明るく素直、ちょっとお人よしな少女、朝灯(あさひ)。
無愛想な同い年の少年、邑(ゆう)。
両親の再婚によって、ふたりは義理の姉弟となった。
この出会いから、物語は始まる。
朝灯が父と移り住んだ村は、妖怪との異類婚姻の伝説が残る土地。
義理の母となる再婚相手の女性は、実は妖怪の子孫。
息子の邑もその出生ゆえに、他人と関わりを持とうとしない。
村に到着した早々、事件は起こった。
朝灯が妖怪によって、瀕死の重傷を負ってしまったのだ。
邑の母のもつ妖の力(癒し)で、少女は一命を取り留める。
しかし、その代償は大きかった・・・
過酷な状況にあっても精一杯立ち向かい、相手への思いやりを忘れない朝灯。
そんな彼女と家族を守ろうと、邑は奮闘する。彼のまっすぐな心が感じられる。
ふたりの絆が深まっていく過程も注目だが、一番の見せ場(?)は「力」の受け渡しのシーン。
けっこうエグイ設定なのにドキッとさせられてしまうのは、作者の筆力、梅田さんマジック。
このレビューを書いている現在、三巻まで発売中。いよいよ物語が走り出し、先が楽しみです。
妖怪モノ好きな方、表紙を見てピンときた方。ぜひぜひ手にとってみてください。