少年は剣を・・・
聴く前は心配もしていました。
3曲中2曲が制約多きタイアップで、しかも異なる作品です。
ライブで聴いていた「緋色の風車」はいいとしても、1枚のアルバムとしての世界構築は無理ではないかと思っていましたが・・・・
杞憂でございました。
聴き込むほどに味わいサンホラ節。待ったかいがありました。
1曲目と3曲目がそれぞれ違う作品とのタイアップだなんて、知らなければ気づかないのではないでしょうか。
たった3曲でここまでのスケール感を表現し、且つ次作アルバムへの伏線も忍ばせてあるとは想像もしていませんでした。
楽曲も詞も唄もこれまで以上に彩り豊かな、新生SoundHorizonの幕開けにふさわしい1枚が誕生しています。
Aramaryさんがいないサンホラなんて、と背を向けていらっしゃる方も一度は聴いてみていただけたらと思います。
イベリア 魂のフラメンコ [DVD]
2005年4/18に岩手県民会館で快感に悶えさせてくれた(オヤジギャグですみません)「カルメン」のアイーダ・ゴメスが出ているので、どうしても観ておきたかった。
素晴らしかった。
アルベニスの組曲「イベリア」を基にした音楽がいい。ギター編曲版で有名な「アストゥリアス」のチェロ独奏版が秀逸(サントラがほしいのだが、アマゾンには出ていない)。
もちろん、踊りはいわずもがなである。
レッスンを受けているシーンの子供たちがまた凄かった。あんな小さなときから覚えていくんだから、かないません。
物語はないのに『ウェストサイド物語』を観ているような抒情性に酔わされた。大国日本でなぜこの種の映画がつくられないのか(あるいは、つくれないのか)。
日本の文化レベルはいかがなものかと考えさせられつつ、映画館を後にした。
聖戦のイベリア
Sound Horizonの本領発揮とも言うべき沢山のキャスト、歌い手、コーラス。
詩のひとつひとつに込められた「聖戦」のメッセージ。
アルバムを除き二枚目のシングルとなりますが、今回はシングル初続き物ということになります。
アルバムのような壮大感が、一枚のシングルでも表現できる。
個性的で魅了される詩とワールドミュージック。
台詞の数々やキャラの個性、伝えたかったもの…
Sound Horizonという楽団にしかできない音楽かもしれません。
ただ、一期のような童話風ファンタジーが好きな方にはやっぱり受け入れられ辛いかも。
ドビュッシー / ラヴェル [DVD]
入念なリハーサルを重ねてきて、楽団もチェリビダッケの要求が体に染み付いた状態になっているようですね。非常にクオリティが高いです。
また観客も、時折天井を見上げたり目をつぶったりしてこちらもまた指揮者の求める音を感じ取ろうという心構えが出来ているように見えます。
オーケストラを上から見下ろすようなアングルで映し出されている映像を見ると、指揮者はいつもこのような視点でオーケストラを見下ろしながら指揮をしているのだろうと思わずにいられません。演奏効果がよく計算された美しい演奏だと思います。
暗殺者の森 (100周年書き下ろし)
本当に心待ちにしていた一冊。逢坂さんはもう北都のこともヴァジニアのこともわすれてしまったのかな、と不安になったこともありましたが、ようやく、です。
「七月二十日事件」〜「ヴァルキューレ作戦」発動のあたりが今回の話の中心です。と、偉そうに書いても第二次大戦の欧州の動向について全く無知で、初めて知った内容でしたが。
ただこのイベリアシリーズを北都とヴァジニアのラブストーリーとして読んでいる私にとっては、ふたりの全く関与しない事件の記述が本書の大部分を占めており、教科書を読むような(退屈な)時間ではありましたが、舞台がベルリンと言うこともあり、特に後半にかけて、単なる脇役と思っていた尾形が大活躍をしてくれました。
胸を熱くさせるような前作のラストシーンから、本書では多少なりともふたりの関係が深まるのを期待していたのですが、さずがヴァジニア、あそこまでの目にあっても、決して負け犬にはなりませんでした。不屈です。ジェームズ・キャメロン映画のヒロインにもひけを取りません。今や彼女の「敵」は英国内部にあり、その敵を暴き出すべく戦うのです。
でもそのヴァジニアにして、どんな逼迫した状況であろうともナオミには張り合ってしまう可愛らしさ。
本当に強くて本当に可愛らしいヴァジニアが、変わらず本書にもいました。
個人的に猛反省しているのが、前作を読んだあと堪えきれずに、実在する主要な登場人物の「その後」を、軽率にもネットで調べてしまったことでした。無知なまま知らずにいれば、ふたりと一緒になって、歴史の展開に立ち会うことができたものを。「よく知らない」という方には、ぜひそのままで、本書の展開の中で知っていくことをお薦めします。
そして本作も、最後の最後に、息が止まり、知らずに涙が流れてしまいました。
こんな狂おしい気持ちで、次作を何年待たなければならないのでしょう。
でも、ドイツ、日本の敗戦まであとわずが。完結してしまうのも悲しい。
「百舌」の新作と併せて、じっと静かに待ちたいと思います。