戦場から女優へ
たくさんの兄弟姉妹・戦争・空爆・孤児・孤児院・養母に引き取られる・自分だけの為に、車いっぱいに
おもちゃを買ってもらうような生活・公園で寝起きする外国での生活etc…
昔も今もそういう事があり、そういうことが起こった人生を歩んでいる人がいることを「知って」はいましたが、
同じ地球上に、同じ時代にそれがあるということをこんなに実感したのは初めてです。
月並みな表現になってしまいますが、同い年なのに私の人生とあまりにも違って「こんな人生もあるのか」、
自分だったらどう考えるだろう?と思いながら読みました。
球体のどこに生まれたか、それが違うだけで人生はこんなにも違うものなのかと・・・
特に印象に残ったのは彼女とお養母さんの関わり方。
著者サヘルが物心つくかつかないかの頃から今までの経緯が順々に書かれていて、特に母子の
あり方について章をさいて書かれていたり・強い意見を述べたり・・・ということではないのですが、
小さなエピソードのそれぞれから、2人とも自分の為に生き、それ以上に相手の為に生きて
頑張っているということがひしひしと伝わってきます。
それから上履きのエピソード。
私が小学生のときも汚いボロボロの上履きを履いている子がいましたが、貧乏で新しいのが買えないの
かもしれないというのは想像だにしませんでした。サヘルの事情を読んで、同級生の本当のところは
わからないけれど、そういう可能性が想像ができず「だらしないな」と上履きを見ていた自分を恥じました。
また彼女の、貧乏でも屈折しない粘り強さや前向に努力する姿勢は今の日本人よりよっぽど「古き良き日本人」に
近いと思いました。彼女の今後が楽しみです。