苦の世界 (岩波文庫)
芸者上がりでヒステリーの嫁。ウソつきでぐうたらな友人。世渡り下手な元上司。朴訥なだけがとりえの無口な母親。そして何をやっても駄目な自分。
生きることはつらく、苦しく、時には醜く、時には滑稽ですらある。
大の大人が花屋敷でメリーゴーランドに乗りながら束の間この世の憂さを忘れて笑い出す。珍しく機嫌の良い嫁と母親が仲良くやっているのをこっそり見ながら心の中で「ばんざい」とつぶやく。
人情話ではなく、冷たささえ感じさせる筆致で描き出される「苦の世界」。
まるで自分の人生そのものの話のようではないですか。
百恵・アクトレス伝説
以前何枚かは百恵のオリジナルサウンドトラックを持っていました。もちろんLPでです。今回「赤い疑惑」の紙ジャケを購入して他のオリジナルサウンドトラックも購入したく探してみるとBOXセットのみ、僕は百恵の初期の作品が欲しかったのですが、そしてBOXは少し高価すぎます。ただ初期の2,3枚が欲しかっただけですのでそのうちお金が貯まったらDVDのBOXセットを購入しようと思います。それまでの間はこのCDで我慢します。そしてとても安く買えたので。ちなみに「潮騒」のテーマソング「少年の海」、ナレーション入りのをオリジナルアルバム「16才のテーマ」で聞いていましたがあまり好きではありませんでした。でもこのオリジナルサウンドトラックでSEつきで聞くと不思議に素敵な曲に聞こえます。
中古品はまだかなり安く販売してるので試しに購入してみてはいかがでしょうか?ちょっとした喜びです!
幻の名盤解放箱
自ら意識して音楽を聴き始めたのはパンク以降の洋楽でしたので、まさか今ごろになって当時誰も見向きもしなかった古〜い歌謡曲にここまで打ちのめされるとは思わなかったです!とにかく完全に時代を超越していると思いました。次ぎから次ぎへと繰り出される楽曲群は、間違いなく当時は一応売れる事を前提に作られていたはずで、それがまったく売れずにそして誰の耳にも届かず市場から消えて行ったことにより、今となってはまるで時代錯誤な、否、時代性のない新曲として聴けるという楽しみがあろうかと思います。それにしても、この手のレコードを闇雲に買い漁り、そして独特の感性・指向性により厳選する幻の名盤解放同盟による楽曲群はどれも完成度が高く非常に普遍的な響きを放つのです!まず、今の時代では作り得ない音楽を聴きたい方にはマストであります!
思い川・枯木のある風景・蔵の中 (講談社文芸文庫)
思い川は最高に良いです。
大正から昭和、そして、戦後まで、主人公の牧という作家と、芸妓の三重次との交流を描いています。
芥川竜之介こと有川辰太郎など、実際の現実とそう違わないことが書いてあるのだと思われます。実際に読んでみてほしい作品です。
枯木のある風景は、画家の話です。宇野浩二世代の作家は、特に絵画論に言及することが多いと思います。思い川ほど良いとは思いませんでした。
トランシルヴァニアの夕べ~珠玖加奈子フルート・コレクション~
殊玖加奈子さんのホームページに掲載されている、若いころからのフルートとの奮戦記やハンガリーでの人との出会いなどの話を読んでから聴くと、演奏者の人生や現在の心境がしみじみと心に沁みてきました。心が癒される1枚です。