家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)
二千年後の未来で日本人がヤプーと呼ばれ、白人の家畜にされていると言うSF+SM。
日本人は“生物学的にも”人間では無い「知性猿猴(シミアス・サピエンス)」であると言う発見がされ、
白人=人間=神、黒人=半人間=奴隷、日本人=ヤプー=家畜≠人間
と言う秩序が完全に出来上がった未来世界にひょんなことから二十世紀の白人女性と日本人男性のカップルが連れて行かれることになります。
小説の大半は物語設定の説明になっちゃってますが、その設定がブッ飛んでる癖に、妙に凄い。知識+妄想パワーが無いと書けないようなことがこれでもかと書かれていて、しかもところどころにユーモアが織り込んであります。目次を読むだけで壮観。ちなみに第一巻は「家畜調教問答」で始まり「如意鞭「珍棒」」で終わります。
現在江川達也がコミックバースにて漫画連載もしているので、活字はどうも…と言う方は漫画の方をどうぞ。
本来この小説はマゾヒストのためのマゾヒスト小説として書かれているとのことなので、SMに興味が無いひとはそれほど楽しめないかもしれません。ですが、文学的にも充分素晴らしい内容なので是非多くのひとに手にとって戴きたいと思います。
TOGAWA LEGEND SELF SELECT BEST&RARE 1979-2008
戸川さんの歌は、ソロアルバムとゲルニカしか聴いたことがなかった。このCDが出ているのを知って早速購入。初めて聴く歌が多かったのでうれしかった。戸川さんは色々な歌い方をするのが印象的。一見下手に聞こえる歌も、計算されているのだろう。インパクトがあるのは「さよならをおしえて」。一度聴いてみたいと思っていて果たされたのが「ラジャ・マハラジャー 」。意外性に笑ったのが「鈴木建設社歌」。ゲルニカの曲がもう少し入っていれば言うことなしなのだが。「絶海」はできれば入れて欲しかった1曲。
TOUR-LIVE ’85~’86 [DVD]
戸川純がアイドルとして一番幸せだったと思われる時代のライブ。
表情の一瞬一瞬がたいへん魅力的。
玉姫様、レーダーマンのエキセントリック純ちゃんのイメージが先行しがちだけど、後半の「母子受精」、「少年達」はびっくりするほど素直な唄いップリで
「純ちゃーん」と叫びたくなるほどかわいらしくてよろしい。
ヤプーズ・デ・ラ・クルスの犯罪的人生~96m巻・2枚重ねミシン目あり [DVD]
純さんがバキバキに活躍していた当時。自分はまだペエペエの小学生でしたので、せいぜい『T●T●のCMの』といった印象程度で、むしろ遅咲きボーイの私にとってはその程度で済んでいたのが幸いだったのかも知れないな。などと想いつつ。ここ5年ほどでようやく本格的に向き合えました。
とにかく圧倒的な存在感。最近このテの雰囲気を纏ったフリの『それっぽい』バンドを散見したりしなかったり。ややこしいな。とにかく今のところ純ちゃんには敵わない、と思う。どっちが早いとか遅いとか、本物とか紛い物とか、は関係なくて。根本的に。
バックの演奏も強烈で、レベルが全く違う。
ドスドスと文字通りドスの利いたリズム隊が最高です。
全く安心して聴いてられない、目が離せない。そしていずれは聴き手が置いてけぼりになる程にむしろ爽快感、強烈に愛らしい諸々の所作。声、歌詞。突発的なビブラートには鳥肌が立ちます。
ボートラ『受難』PV含めて全編ぶっちぎってますが個人的には『アンチ・アンニュイ』が特にいい感じ、『昆虫軍』も最高。そしてやはり『ヒステリヤ』は世紀の大名曲だと思います。ギターの音色も神がかってると思う。ありがとう功績。
戸川純―Jun Togawa as only a lump of meat (fukkan.com)
絶版の本を、みんなの投票によって復刊させようというサイト「復刊ドットコム」で多くのファンのリクエストに応えるカタチで見事復刊を成し遂げた戸川純の写真集。この時期はバンド「ヤプーズ」での活動がメインで、呼応するかのように戸川純のアーティスティックな部分がよく表現された前衛性と大衆性、芸術としてのエロチシズムを併せ持つ素敵なアート作品として楽しめる。写真という視点から見れば、荒木経惟のファンの人にもお勧めできる作品。