プーランク:歌曲全集
プーランクはピアノ曲や室内楽曲に非常に優れた作品を多く残しました。
しかしプーランクの本領は歌曲の分野において発揮されているように思われます。
陽気かつ爽やかでありながら悲しさと荘重さを持ち合わせたプーランクの歌曲は他のどの作曲家にも見られないものです。
私は特に(挙げればきりがありませんが)「村人達の唄」や「冷気と火」「カリグラム」に彼の才能が最高に発揮されているように思われます。
演奏の方はロジェの素晴らしい伴奏、ル・ルーの歌唱力には脱帽するばかりです。
もう一人のバリトンのカシュマイユは少し低めのくぐもった声、プーランクの爽やかさや軽妙さを完全には表現しきれていないように思えますがそれでも最上の内容です。
ほかの女性陣たちも最高の歌唱力を発揮してくれています。
プーランクファンには是非聴いてもらいたい作品集です。
マーターズ [DVD]
はい、毎度おなじみ「フレンチホラー」の話題作ですね。
本作も好き嫌いは別として強烈なインパクトがあって”ヨーロピアン・ホラー”ブランドの健在ぶりを見せつけております。
ここのところ70s-80sのホラーのリメイクを恥ずかしげもなく垂れ流している昨今のアメリカ映画と比べればその勢いの差は歴然。
ただし本作はワイ・ワイ・キャー・キャーと「楽しめる」ホラーでは全くありませんし、むしろ見終わって不快に感じられる方も少なからずおられると思いますので、ご注意ください。
少女期の誘拐・監禁の悪夢をトラウマとして抱えたまま成人した女性、ルーシーが選んだ道は自分を虐待した人物を見つけ出し復讐することでした。
ある晴れた日曜日の朝、とある一家が朝食を取っている時にチャイムが鳴ります。
父親がドアを開けるとそこにショットガンを構えた一人の女性が。
そしてルーシーは自分の悪夢を断つために引き金を引きます。
ルーシーから連絡を受けて駆け付けた親友、アナはその惨状に愕然。そして次第に錯乱の度合いを増していくルーシーに対して疑念が膨らんできます。
果たしてルーシーが選んだこの一家は本当にかつて彼女を虐待した張本人なのか?
そもそも監禁されていた時にルーシーの身に一体何が起きたのか?
その答えを探し求めた時、彼女たちを待ち受けていたのは底なしの暗闇だった・・・。
本作のキーワードが「監禁・虐待・拷問」であるのは事実でしょうが、陰惨なスプラッタショーではありません。
詳しくは言えませんが物語の鍵はルーシーをかつてさらった連中の「目的」にあります。
その部分はラスト30分に明かされるのですが、想像を超えた展開になって行くのでびっくり。
前半のハードサスペンスからこの衝撃的なラストへの方向転換を許せるかどうかが評価の分かれ目でしょうか。
個人的にはかなり微妙と言ったところが本音です。
この展開はあまりにも浮世離れしたものがあるように思えて正直言って、恐怖感は半減でした。
ただし、突拍子もない後半の展開を差し引いたとしても前半は心理サスペンス・ホラーとして上出来だと思いますし、
ラストの皮肉の利いたブラックなユーモアも嫌いではありません、。
極めつけの「変な話」ですがどことなくヨーロッパのエスプリが伺える辺りもやっぱり「異色」。
どこかで聴いたクラシック ピアノ・ベスト101
クラシックだから購入しても最初だけですぐ飽きて
ちっとも聞かなくなるんじゃないかと不安でした。
でも知ってる曲ばかりだし、ピアノのやさしい音色が
とてもいいですよ。本を読んだりお茶する時も
喫茶店にいる雰囲気が味わえます。
これだけ安いから曲はフェイドアウトなのかと思って
たけど違ったのですごくお買い得だと思います。
どこかで聴いたクラシック クラシック・ベスト101
CD6枚入りでこの価格は安いと思い買ってみたのですが
あまり良くなかったです。
クラシックの入門にはうってつけだと思うのですがやはり
クラシックを本格的に聞きたいという方にはちょっと物足りないと
思います。
私的にはベートーヴェンの交響曲第9番の最後の合唱の部分の
一番の山場の前で終わってしまっていたり、英雄ポロネーズの
ピアノが少し弱く感じたりその他の曲もちょっとしぼんでいたりと
残念でした。
本格的にという方にはやはり1人の作曲家をピックアップしたCD
を買われるのがおすすめです。
3つのジムノペディ~サティ・ピアノ作品集
1985年のことだったと思うが、パスカル・ロジェの来日公演を聴きに行った。ベートーベンのソナタとサティの小品集を組み合わせたプログラムで、当日は雨が降っていた。仕事の都合で遅刻し、ベートーベンを聴き損なった私は、後半のサティだけを聴いた。あのころはサティ・ブームで、ことさらに無表情な演奏を好む向きもあったが、ロジェは自然な抑揚をつけ、情感のこもった演奏を聴かせていた。グノシェンヌ第5番の主題など、弾むような愉悦感があった。曲目が終わると、一人の女性が、ステージにかけより、彼に花束をプレゼントした。彼女は握手を求めて手を差し出したが、彼はサッとその手を取り、甲にキスをした。その動作がごく自然だったので、「さすがフランスの男は違ったものだわい」と感心してしまった。会場から外に出ると雨が上がっていた。水たまりをよけながら、何やら楽しい気分で歩いたのを覚えている。