自閉症・アスペルガー症候群「自分のこと」のおしえ方 (ヒューマンケアブックス)
自閉症や,アスペルガー症候群を、血液型や、右利き左利きと同じように捉えて、
脳のひとつのタイプだと、当事者に伝える。という考え方には大賛成です。
よこはま発達クリニックでの内山登紀夫先生らとの臨床からたどり着いた方法だと思われます。
三つ組の特徴の説明に関しても、苦手と得意は裏表という説明にも納得です。
こだわり行動は、熱中行動との裏表というわけです。
ただし、片付けられないとか、忘れ物が多いとか(これが愛すべき特徴となっている得な人もいますが)
目を見てしゃべれないなどという特徴は、受け入れながらも、治すべきこととして認識してもらったほうがいいようです。
前記二者については、怒らぬように気をつけながら、くどいほど「説明」することにすればどうでしょう。
手伝うと子供をスポイルするとか考えず、とにかくなんども手伝って、前日から用意、玄関先に用意を続けるのです。
ほら片付けるとミンアが喜ぶよねということをやった見せるのです。
後者については「目など見なくて良いから、おでこのあたりを見なさい」ということにしたらどうでしょう。
対象としては小学生から中学生高校1年生くらいまでの間に、この状態に持って行きたいものです。
「自閉症、アスペルガー症候群の」というタイトルですが、本書は比較的軽い自閉症や、アスペルガー症候群向けに書いてあります。
あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド
「親、教師、専門家など本人への告知を考えるすべての方へ」と帯がありますが、他の専門的な解説のある本より、簡単でわかりやすかったです。分厚い本を理解してもらうために「読んでください」といいにくいですが、この本なら渡しやすいことと思います。内容として、抽象的ではなく『友達関係でトラブルが起きやすい・気を遣うわりには浮いてしまう・考えや行動をリセットするのが苦手』。「もしかしたら自分はアスペルガーかも…」と思っている方も読んでみられると心が楽になるのではないでしょうか。理解されるよりは理解することをこの本から、はじめていきましょう。
青年期、成人期の発達障害者支援 第1巻 発達障害を知っていますか? [DVD]
臨床心理士養成教育の中で、発達障がいに対するアセスメント能力や支援能力の向上は喫緊の課題です。
にもかかわらず、大学院教育・臨床心理士会・臨床心理士認定機構の研修とも、時代の養成に対応しきれていないところがあります。
本ビデオは35分間で15750円と高価ですが、臨床心理系の院生教育には必須の内容を含んでいます。
また、WISCやWAISの理解に必要な、聴覚作動記憶とはどういうことなのか、当事者の方の事例から学ぶことができます。
発達障がいが生涯に渡る生きにくさであることを考えると青年期・成人期の発達障がい理解はとても重要なことだと思います。
教職員のみなさん、発達障がい者支援にかかわる方、ジョブコーチのみなさんにも見ていただきたいビデオです。
発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)
最近発達障害の本が売れているようだ。本屋に行くと「アスぺルガー症候群」がベストセラー欄に置いてあったりする。本書は実際に発達障害を診察している精神科医によるものである。内容は新書らしく良く整えられていて、わかりやすい。発達障害の患者に対して優しい視線を向けているのも好印象である。(精神科医が皆患者に理解があるとは思わない方がいい、和田等の様に他者に対し冷たい精神科医も結構多いのだ)
著者の言うとおり発達障害は人口の10%程度はいるとされ、実はかなりメジャーな問題である。ただし、残念ながらこれも著者の言うとおり日本ではあまり認識されておらず本来多大な関心をよせなければならない教育界では完全に無視され(少なくても教育者で発達障害について本を書いた人を私はまったく知らない)ているのは残念なことである。ましてやニニートや引きこもりに関連付けることは現状の日本ではほぼ不可能だろう。近年(私は専門でないから断言できないが1980年台から、という印象を持っている)発達障害の研究が進み、ADHDや広範性発達障害は大人でもり患することが知られるようになり、本書は大人の発達障害に対するよき啓もう書となろう。というのも発達障害は児童精神科の領域であり日本ではこの領域の専門家は殆どいないからである。まして大人の発達障害に悩む人が心療内科や精神科医に受診して相談するのは非常に困難だろう。本書はそのような対人関係に悩む人に特効薬となる可能性が十分にある。
なお、著者がしばしば引用されている杉山先生は、自閉症の大家であり、著書の「発達障害の豊かな世界」はこのジャンルでは有名な本である。本書で発達障害に興味をもたれた方は合わせて読んでみるとよいだろう。