オリンピア
30年近く前に自ら葬ったバンドのメンバーと付かず離れず絡み続け、常にロキシー再結成を匂わせ続ける。で、たまに再結成する。(それにしても、本来、94年"Mamouna"で果たされてるイーノとの和解ネタをいつまで使い回すんだと。)音楽的には一世一代の名盤"Boys and Girls"(85年)の路線を踏襲し続け、時々カヴァー集を混ぜることで変化を付ける。(嗜好が結構アメリカンなので変化が上手い具合に付く。)その時々で旬な豪華キャストを投入し、彼らを使いこなす大物感を演出する。(実際、比較的抑揚のないメロディの曲が多いので、ワキが相当上手くないと飽きずに一枚聴かせるのが難しい。)生まれた時から愛息を溺愛していることからも分かるように本人は結構家庭的なのに、60代半ばを過ぎても尚ディスコがどうのこうのとナンパな歌を歌い上げ(=1曲目)、報われぬ恋の伝道師を演じ続ける男。
といった具合に、フェリーさん商法はかなり保守的でやってることはいつも同じなのだが、これだけネタが割れていても、数十年の間ファンに飽きられず固定ファンが蓄積し続けてきたことは偉大なことである。なぜ、こんなことが可能なのか。それは、彼の「ダンディ芸」が歌舞伎役者や落語家のそれに似て、上手に年齢を重ねる姿を見せることで「艶」を深めるものだったからだ。(逆に、この「艶」の味を知ったファンは、フェリーさんが引退するか死ぬまで追い続けることになるだろう。)
さて音の方だが、多くのレビュアーが"Boys and Girls"の名を挙げているように、路線と完成度の高さはいつもと変わっていない。80年代に彼が出演したビデオテープのCMの格好良さに、「早く大人の男になりたいもんだ」と思わず憧れた中学生の僕も、腹のたるんだ中年男になった。星が一つ欠けている理由は、同じ路線でやっている以上、過去の名作群のインパクトを超えることは難しいことが最大の理由だ。そして年齢的に「女にモテること」より大事なことが分かってきたということも大きい。(これは年を取って良かったことの一つだ。)フェリーさんの聞かせてくれる御伽噺と自分の人生に少し距離感が出てしまったというか。
以上のような不真面目なファンの僕だが、フェリーさんの老い際が今後どう「ダンディ芸」として完成されていくのかというこの1点はまだ目の離せない、全てのファンにとっての未体験ゾーンである。カサノヴァの老年は寂しいものだったが、カサノヴァの名演者であるフェリーさんは「ブライアン・フェリー」を最後まで演じ切ってくれるはずだ。そう期待させてくれる充実の一枚である。
The Best of Bryan Ferry: +DVD
ロキシーミュージックとB. Ferryのアルバムはすべて持っていますが、DVD欲しさに買ってしまいました。
今度はFerryのみの楽曲をほぼ年代順に集録したものです。Ferryオタクではないので特にに目新しい所はないように見受けられますが、CDのほうにはボーナストラックが2曲入っています。
DVDの方はVHSで見たことのあるものがほとんどです。しかしPVのあっちこっちに美女が出てくるのでいつ見ても目の保養になります。ラストのボブ・ディラン作「POSITIVELY 4TH STREET(2007年)」ミニライブで彼の歌唱力を再認識いたしました。これを見ることができるだけでもこのCD+DVDを買って良かったと思いました。
ライヴ・イン・パリ [DVD]
フェリー・ダンディズムの忠実な再現。この一言で、このDVDは集約できる。2000年、パリでのライブ・ステージに通底する、ブライアン・フェリーの耽美世界を理解した制作スタッフによる、心憎いまでのカメラワークと編集。例えば(タネ明かしはしないが)弦楽4重奏セクションの人選、衣装など、Roxy Music時代のアルバムジャケットのポリシーがそのまま踏襲され、その様子を見せ場を心得たカメラワークが捉えている。"Avalon"を歌う姿は、18年前、筆者が武道館で見たダンディズムから全く衰えず、むしろヴォーカリストとしての成熟を滲ませる。全体の選曲も、"The way you look tonight"などの近年CD収録曲から、あの"Love is the drug"に至るまで幅広く、最近のフェリーファンから、筆者のようなファン歴20年を越すベテラン・ファンにまで奨められる、フェリーの色香を堪能できる1枚。
プルートで朝食を [DVD]
キリアン、かっこいい。いい役者ですね。覚えおこう。
「ヘドヴィク」が入ってこれが入らないのは何でだろう。
ニール・ジョーダン、いい仕事してるのに!
もう本当に、前向きな嫌われ者の映画って好き。
おまけにチャーミングで音楽もいい趣味してる。
ブライアン・フェリーでてるのね。
ラストカットのふたりの歩く姿で涙しました。