スロー・ラヴ(初回限定盤)
久々にこの路線が帰ってきた。「もう一度」を彷彿とさせる、踏みしめるようなリズムに乗せて、明るくも切ない、琴線をくすぐるメロディーが繰り出される。
特にサビの中の「大切なものは」で一度マイナーに向かう部分がたまらない。普通にメジャーのまま進んでもおかしくないと思うが、このひとひねりがさらに胸をしめつけ、一層この曲が好きになる。
達郎氏のアレンジとコーラスも基本的には素晴らしいが、やや残念なのは1番が終わった後の一息ついたような、急に落ち着く展開。
ここはありきたりでも良いから、勢いを保ったまま間奏、2番へと突き進んでほしかった。好みの問題でもあり、曲自体の良さに比べれば些細なことではあるが。
最近出た新作「Denim」の中でも「スロー・ラヴ」は光っている。久しぶりのアルバムも聴き応えがあってお勧めだが、単独でも推薦したい1曲。
カップリングの「Never Cry Butterfly」ともども、シングル盤としても人気の高い1作になるのではないか。
Denim(初回限定盤)
2001年の「BON APPETIT!」以来のオリジナル・アルバムですね。
1984年に「VARIETY」で大きな衝撃を受けてからというもの、彼女の作品は必ず手にとっていますが、本作も相変わらず上質です。
本作の中でも、時を経た大切な絆や、激しい恋、人目を忍ぶ恋、女性のライフスタイルなんかを描いています。このスタイルは「VARIETY」以来不変ですね。
紡ぐ詩の引き出しの多さ、奏でる曲の幅の広さがありながら、竹内まりやスタイルといったものが軸になっていてブレていません。この方の音の基本は「マージービート」だと思うのですが、とても歌謡曲っぽいつくりにしてみたりと出てくる曲の一つ一つに感心してしまいます。
また今回は一曲目が「マイ・フェア・レディ」の名曲「On The Street Where You Live」とはね。やられた!!って感じです。しかもアップテンポでオリジナルみたいで、めちゃかっこいいですよ。
オリジナルアルバム一作に通じる主題とか、ストーリー性があり、70年代〜80年代の上質なLPの作り方を感じさせるものがありました。
こうなるとやっぱり「消費される」サイクルにはまることを拒み、書きたいと思った曲を書き、アルバム一枚分たまったらアルバムにして発表するというスタンスの勝利ですね。
タイアップシングルの依頼も多いので、主題やら締め切りやらに全く追われないということはないんでしょうけど。
年に1枚はオリジナルアルバムを出すことを求められ、しばらくシングルが売れないと「落ち目」と言われといった、商業音楽社会のサイクルは彼女以外のどれだけの才能を消費してしまったんでしょうかねえ。
またすぐにでも次のアルバムが聴きたいという気になってしまいますが、また5年から10年くらいすれば次のオリジナルアルバムがリリースされるでしょうから、それまで自分の生活の変化も楽しみながら、ああ、前作「Demin」の時はこんな生活だったなぁというのを思い出すのもまた一興かと。
私も「BON APPETIT!」の頃と比べたら、暮す場所も仕事も家族構成もてんで違いますから。
彼女の20代からの音楽とずっとリアルタイムで暮らせていることを心から感謝しています。
魂の演技レッスン22 〜輝く俳優になりなさい!
演技を学んでいる人、演技を学ぼうとしている人は絶対読んでおいた方がいい1冊です。ステラ・アドラーの言葉は真っ直ぐ心に響きます。演技とは・・・、という意味を改めてよく考えさせられました。ステラ・アドラーの厳しくも深みのある言葉、わかりやすく書かれたエクササイズが、演技に取り組む姿勢はもちろん、物事の見方や人生観まで変えてくれました。私たちに実際に語りかけるように書かれた訳も、非常に読みやすく、ダイレクトに心に届きました。
役者魂! DVD-BOX
初回を観た時は、内容的に入り込めない感じがしましたが、ちょっと我慢して2話目を観たんですが、そこからは、このドラマの深さに虜になっていきました。
「家族」という普遍のテーマを描いていますが、そこに血のつながりの全く無い違和感のある組み合わせをもってくることで、家族ってなんだろうと考えさせられ、ただその違和感のある家族って、血がつながっていてもいなくても、今の世の中には結構あったりするもんだなぁと思わされ、そんなことを考えながら見ていくうちに、「家族とか、血のつながりとかは関係ない!根本は人間同士の信頼関係なんだ!」っていう非常にポジティブなドラマだった。そういえば最近、こんなにも振り切ったポジティブなドラマって無かったような気がします。
内容だけでなく、演出なんかも凝っていて、あの緊迫感のある1発撮りとかは非常に感動しました!舞台などは基本的には見ないのですが、松さんや香川さん、森山さんなどの舞台役者が揃うと、こんなにも演出に幅が出るのだと訴えられたような気がします。そこにこそ役者魂を垣間見ました。総合的に非常に良いドラマです。
Denim (通常盤)
すでに夫である達郎氏のラジオ番組で聞いていたけれども,あらためてCDで全体を通して聞いてみて,そのあまりの心地よさと完成度の高さに,思わずステレオ装置の前に座って聞き入ってしまいました。服部克久氏のストリングスアレンジに乗せて歌う「君住む街角」に始まって,「みんなひとり」「シンクロニシティ」という耳に入りやすい佳曲,そして「人生の扉」という50歳の年齢を日本のポップミュージックで初めて歌った名曲まで,ここ数年,こんなにも自然に音楽が心に入ってきたことはありませんでした。脱帽です。