キネマ・イン・ザ・ホール
片霧烈火と弘田佳孝のコラボアルバムで、独特の世界観が広がるこの作品。コンセプトは映画、穴、闇。
アルバムタイトルの通り、映画館で連続でいろいろな映画を見ているような設定で、いろいろな“穴”にまつわる話、つまり歌が聞けます。曲調は多種多様で、歌詞の内容は基本暗いです。人の暗ーい部分が表されてます。それをどんな曲調でもしっかり伝えてくるあたりは、片霧さんさすが!、としか言えません。世界観共々、僕は好きですな。自分が闇属性と思う人は是非聴いてみてください。
最後に、「むずっ!(笑)」
ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者
ダルフールで育った著者が「外の世界」を知ったことと、自分の村が「消滅
させられる」ことを、自身の目と耳で体験してしまったが故に選んだ道は
ダルフールを救う為にやって来たNGOや各国政府の調査団、そしてそこで行われて
いることを伝える為にやって来たジャーナリスト達と現地を繋ぐ仕事=通訳と
いう道でした。
この本はその道を選び−文字通り命を懸けて−奮闘した著者の半生記を、彼の
言葉で且つ平易に描いた一冊です
(読みやすさの一つは、彼がどんな時もユーモアを忘れていない点に因ります)。
・彼はどこに産まれ、どんな生活を送って来たのか?
・彼が「外の世界」を知ることになったきっかけとは?
・自分の故郷が無くなる瞬間
・昨日の友が今日の敵になり、今日の敵が明日の友になる世界
・ダルフールで起きていること
・そして著者に起きた最大の危機
そこに写真は「一枚も」ありません。有るのは文字のみ。特段上手いという
文章でもありません。しかし、ページの向こうには家族やコミュニティーの
温もりが有るのと同時に、*1)凄惨な状況、そして死への恐怖が、現前と且つ
鮮明に広がっているのです。
*1)これは結構キツイです。著者の言葉を借りれば「邪悪そのものを見る」と
いう状況がそこにはあります。
同じ時代に産まれながらも、場所が異なったお陰で片方は(100年に一度の
不況と言われていますが)少なからず先進国や新興国は隣町が敵になり、互いに
それを殲滅している、という世界ではありません。しかし、もう片方では前述
したことが日常のこととして繰り広げられています。
そう言ったことを誰にでも分かる文章で、しっかり伝えきっているこの本は
一読の価値有りと強く感じた次第です。
附:前述した様に文章は平易です。ルビは有りませんが、小学校高学年くらい
からでも読める内容です(中の凄惨な状況を、子供に見せるのはどうなのか?
という問題はあるでしょうが・・・)。未来を背負う彼ら彼女らにこそ読んで
欲しいと思う今日この頃です。
THE BEST’03~’09(DVD付)
各アルバムからのハイライトトラックが詰まった入門編的アルバム。ただ、全体的に似通ったタイプの曲が多く、オリジナルアルバムと比較するとどうしても見劣りしてしまう。初期に比べて後期の曲は荒削りさが取れてきて面白いので、そうゆうニュアンスで聞き比べる楽しみ方はあるのだが。個々の楽曲の完成度が高いだけにちょい、残念。なので☆4つで。ちなみにDVDはファンなら必見。
夜と霧 新版
どうしても旧版と比べられてしまいますが、改訂された原書の翻訳ですから、単なる改訳だと思ってはいけません。旧版も絶版にはなっていないようですので、ともに存在価値があると思います。
さて、この機会に旧版ともども一気に読みました。
比べるつもりはないものの、やはり「差」は感じます。それは出版された時代背景についてです。
ホロコーストそのものについての情報が乏しかった旧版の時代と、それらを予備知識として前提できる今日との差は、あきらかにあるようです。それをもって旧版は重く新版が軽いと言っては正鵠をえていないでしょう。この本は、悲惨な状況を冷静にかつ客観的に書いています。決して、悲惨の原因を糾弾することではなく、淡々と書いていることが印象的です。
その雰?気を、新版もあますところなく伝えています。旧版に比べて軽いと感じるとすれば、それには読みやすい文体が寄与しています。原著もこんな「感じ」なんだろうと、私には思われます。