ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]
原作の田辺聖子さんの世界観の一つ「弱者への優しい眼差し」が心に響く映画です。ここで言う弱者は、ジョゼであり、恒夫であり、世の中の人全部。
ハンディキャップのことでは無い。
ベタな感想ですが、「お魚の館」が良かった。恒夫に会うまで暗い暗い海の底で生きていたと呟くジョゼ、でも湿っぽさをサラサラ感じさせない語り口。ラストの恒夫は卑怯でしょうか?誰もが弱くて、優しくて、少しずるい、だからこそ人間だ。と、登場人物をひどく身近に感じる。
確かに胸をうたれるが、湿っぽさを感じさせない。「泣け」と言わんばかりの最近の恋愛映画に辟易している人にはお勧め。
等身大でおとぎ話な恋愛映画。
等身大なのにおとぎ話、この矛盾がよい。
月刊 池脇千鶴 (SHINCHO MOOK)
変な花の合成も含めて、写真は全体的に中途半端な作りでした。
わざとらしく下着をはみ出させた写真や股を開いた写真は不自然すぎて逆に引きまくります。
こういった写真であれば、今時のU-15アイドルの方がよほどそれらしい出来の良い
写真集をつくっていますし、第一笑顔が少ないのが問題。
暗くじめじめした表情より、関西人らしくカラッとした笑顔での写真の方がいいタレント
です。確かにそれでは今までの写真集と同じようなものになってしまう、という意向なので
しょうが久しぶりの写真集ぐらいはいい表情が観たいと思いました。
逆に、インタビューはものすごく良いです!プライベートな事に関しては、当時の
お仕事を重ね合わせ乍ら空想(妄想?)すると、アレをやっていた時はそんな事を!?
と言う感じで、恐らく写真の方で意図していた事がここで勝手に成立してしまっておりま
す。むしろ、こちらに1500円払ったと思えば良いくらいです。
tesoro―池脇千鶴写真集
前半はあどけないイメージ、中盤に大人っぽいカットにきて、終盤には自然な感じという具合に構成されています。
どのカットも、当時の池脇千鶴の持つ魅力を引き出していると思います。
彼女はアイドルではなく女優ですから、表情を作り上げるのが実に上手いです。
この写真集からもそれは垣間見えます。
少女から大人への脱皮。
それがこの写真集のテーマだと思います。
池脇千鶴は、その意図に見事応えたといえるでしょう。
ファンならずともお勧めしたくなる一冊です。
19 Rooms
空気のとまった室内に閉じ込められた女優たちの肌は
上気していて、火照っている。
まるで微熱をはらんでいるような精神の柔らかさが、色っぽい。
「女優たちが自分に少しでも心を開いてくれる感じや警戒心など、ほんといろんなことが映り込むんです。」
「笑うことによって、彼女らから結界を張られているような感じがするんです。」(本文あとがきより)
警戒心からそれを乗り越えた恍惚まで、心の揺れを見ることのできる
たぐいまれなる写真集です。
猫の恩返し / ギブリーズ episode2 [DVD]
これと対になるアニメ、「耳をすませば」は実は苦手だ。
原作が大好きだったのだが、どうも映像化にあたり説教クササが表にですぎて楽しめなかったのだ。
あまりに直接的にテーマを語ることが作品としてどうか?とも思った。
そんなわけで、今までこの「猫の恩返し」も見てなかったのだが、大失敗だった。こんな良い作品だったとは!
猫の国に行くまでのメルヘンな導入。猫の国でのバロンとの大立ち回りの娯楽大作の王道。どちらもお約束な流れのなかで、飽きも古さも感じさせない見事なテンポ、演出である。
猫の国での冒険だけを取ってみても、これだけ爽快で純粋に楽しめる活劇を長らく見ていなかった気がする。インディージョーンズ、いや、古き良き怪傑ゾロ以来の楽しさではなかったろうか。
こうして純粋に楽しめる娯楽作品としての良さを持ちながら、いくつかのシーンが、言葉が、心に残る。その主張の強さや控えめさも絶妙なバランスだ。きっと人によって受けとるメッセージも、良い意味で少しづつ違うだろう。
そういった点でも満点の作品であろう。
「耳をすませば」のアニメ化でガッカリしてしまったような人でも、こちらのほうだけは見てみるべきだ。
もちろん、アニメの「耳をすませば」が好きな人にもお薦めである。