砂漠の囚われ人マリカ
20年も凄まじい環境で監禁、虐待をされたモロッコの元王族の壮絶な自伝です。
某テレビ番組で彼女の事を知り、より深く知りたいと思い本書を購入しました。
テレビでは放送されなかった、より過酷な環境が綴られて衝撃を受けます。
望めばなんだって手に入る環境から一転、奴隷以下の環境での生活。
普通だったら諦めて死を待つだけの環境から彼女(と家族)は見事に脱出しました。
執念と意志の強さを感じます。
そして彼女達にそんな仕打ちをした国王を許す寛大さには、感服の一言でした。
内容は興味深く(と表現したら失礼ですが)、一気に読めます。
が、文章がとても読みにくかったです。
翻訳の影響もあると思いますが、小説ではないので小説を読み慣れていると
回りくどくて分かりにくいというか、多少の違和感を感じました。
新しい地名や用語、人名がどんどんと出て来ます。
一気に読破をしないと人物の相関図や地理がない交ぜになってしまうでしょう。
そして著者の『自分は特別』という意識が所々に表現され、それが不快でもありました。
とはいえ、本書は現実に起きた事を(恐らくは)忠実に記されています。
日本で生きているとまるで別世界で起きている様な感覚に問われます。
しかしこういう事は現実に起き、他の国でも理解に苦しむ仕打ちは多々あるのでしょう。
世界を知る、歴史を知る為にも読んで損はしない本だと思います。