STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
この作品の良いところ
・映像のクオリティが全話通して非常に高く、そして安定している
人物のデッサンが全く狂わず、背景も舞台となる南十字島の自然や戦闘空間のゼロ時間の色合いが鮮やかで美しい。
ロボットも昔からロボットアニメを見てきた人間としては信じられないほどよく動きますし、物語の要となる話では特に力の入ったアニメーションを堪能することができます。
こういった作品のためにブルーレイがあるのではないでしょうか。
また、キャラクターデザインがスレンダーながら骨格、肉付きがしっかりしており、男性の筋肉の描き方に色気があり、女性もプロポーションが美しく、話の進行上裸身が描かれるときも全く下品さを感じなかったのも良かったです。
それにキャラクターの表情の動かし方が本当に細かくて巧み。秘めた思いを抱えたキャラクターが多いこの作品では「なぜあのとき彼(彼女)はあんな表情をしたのか?」を読み解くのがひとつの楽しみでしたが、そういった内面描写をする上で巧みな表情の表現が実に有効に働いていたと思います。
・脚本と構成が素晴らしい
脚本家の方の日本語の素養がアニメ脚本家の中では群を抜いて高く、毎回のサブタイトルも人物の台詞も美しくも含みのある言葉選びをされていて観ていて心地良い。
謎めいたストーリーと相まって、「今の台詞はどういう意味なんだろう?」と考えさせられ、物語に惹きこまれました。
しかもアニメとしては珍しく、メタファーが使用されており、さらにそれが効果的に作用している。
メタファーも文学のように小難しく排他的になるのではなく、大衆文化であるアニメで浮くことなく、それと気づけばすぐに分かるもので、非常に易しい。
こういった「仕掛け」があると何度も観る楽しさがある。
また、「銀河美少年」、「綺羅星十字団」といったネーミングもユニーク。
それから、話に遊びはあっても無駄が無く、驚くほどストーリー構成が整理されており、完成されています。
一話一話が着実にメインストーリーを進めながらも、一話単位での話の完成度を維持し、一回ごとに視聴者に満足感を与えながらも、次回を楽しみにさせる。
物語の着地点も最後まで観ると一貫したテーマに貫かれており、話に明快さ、統一感があって見終えてからは爽やかな余韻が残りました。
・キャラクターがいい
主人公のタクトは「銀河美少年」と呼ばれていたので、放送前は理由も曖昧にモテるような、男からみると面白くない(笑)キャラを想像していたのですが、はっきり言ってタクトはそれとは真逆のキャラです。
いつも明るく前向きで自然体、そして勇敢で、むしろ男に人気が出るようなキャラで、屈託なく「カッコいい」と思えるキャラです。
確かに女性にもモテますが、こんなに好青年ならモテないほうがおかしい、という印象を受けます。
他のキャラもそれぞれ濃密なバックグラウンドがあり、一癖も二癖もあるキャラばかりで、話が進むと「そういう思惑だったのか!」と驚かされることが多く、話に牽引力を与えていたと思います。
・「空気」
「エヴァンゲリオン」を観ていたときに、「このアニメはなんかほっといても観てしまうような引力があるなあ」と思いましたが、「輝きのタクト」にもそれと同じものを感じました。これは見ないとなんともわかり辛いのですが、ストーリーや映像や台詞や声優の演技力や、小気味いい構成や音楽など(音楽のクオリティもすごい。高級感・品がある)が合わさって醸しだされる「空気」とでもいうんでしょうか。
そういった魔力のようなものを生み出すことに成功しているまれな作品だと思います。
惜しく感じたところ
・バトルの描き方
「タクト」の戦いの描き方は戦略的なタイプではなく、昔の「マジンガーZ」のような、「強いロボットが悪い奴を蹴散らしてカッコいい」というノリに近く、監督も「ガンダム」以前のテイストを出したかった、とおっしゃっています。
ですが、バトル物がマンガやアニメで多数発表され熾烈な競争の中で作品中での「理屈」をつけることに先鋭化され、所定のルールの中で読者も展開を予想し考えながら作品に参加することが常態化している昨今では、理由がはっきり分からず勝利する、という描き方は物足りなさを感じる人が多かったのではないでしょうか。
私もその一人であり、死ぬほど作品に惚れ込んでいるだけに、アニメのクオリティは非常に高いだけに、多くの回でバトルの物足りなさに悶々としました。
せめて「タウバーンは構成物質の純度が違うから」とか、「タクトの心の強さとタウバーンがシンクロするから」とか、それなりの説明があればよかったのですが、そういった説明がほとんど無い。
戦闘の時間も平均して短いですし、「タクトがピンチに陥るがその後やる気を出して勝利する」というパターンが続いたときは、「それなら最初からやる気出せよ…」と、タクトにとっては命がかかっているだけに、違和感を少なからず感じました。
やはりロボットアニメを標榜するからにはこの点でもっと頑張って欲しかった(ただし要所での数話を除く)。
・デザインが一見すると奇抜
サイバディや綺羅星十字団の衣装のデザインが独特で、これは生理的に受け付けない人もいるのではないかと思いました。
特に綺羅星十字団はあまりの怪しさに、「タクト」自体が「バカアニメ」だなんて偏見の強い人間に流布されることも。
そういう面が無いとはいいませんが(笑)、内容は非常に頭のいいアニメなだけに、少し残念でした。
タウバーンもパッと見ストレートな、それこそガンダムのようなカッコよさのある機体ではなく、あえてクセのあるデザインにされています。
銀河美少年、アプリボワゼ、綺羅星十字団といった独特の用語も最初はなんのこっちゃと思われるかもしれませんし、考えてアニメを観ることのなかった視聴者を遠ざける要素になった面もあると思います。
この作品の良かったところと残念に思ったところを思いつく限り並べてみました。
しかし観れば分かりますが、この作品はマイナス面にもなりうる点が作品の魅力にもなる珍しいアニメです。タウバーンは作品のキャッチフレーズである「颯爽」とした佇まい、騎士のような戦闘アクションを表現するにはこの上なく機能的なデザインです。タウバーンのアクションは今まで見たことのない動き方でしたが、このロボットの新しいアクション表現はその独特のデザイン無くしては成り立たなかったでしょう。タウバーンは動いてなんぼの新しいヒーローロボットです。
銀河美少年、綺羅星といった言葉も、そのインパクトや風変わりな印象に込められた本当の意味を知らされたときにじんとした感動がありました。
この作品は確かに一見すると「ちょっと変わった」作品です。ですが、綺羅星十字団が仮面を被っているようにこの作品も仮面を被っています。その素顔はこの上もなく「王道」であり健全、理解すれば誰もが感動できる作品です。
是非偏見や他人の評価に惑わされず、この眩しい青春の物語に一人でも多くの方に触れていただきたいです。
ファイブスター物語 [DVD]
ファイブスター物語第1巻のエピソードを映画化したもので、コミックを
久々に見かけたついでに懐かしくて買いました。
20年前!当時「ヴィナス戦記」と同時上映で、コミック知らないまま友達に
連れられ、以来どっぷりはまるきっかけになった映画ですねー
全編65分は今見返すと短いですが、相変わらずとっかかりには良い作品かな。
画質や作画は最近作り直したエヴァとかと比べちゃいけません。
オープニングで流れるオーケストラ演奏の曲は雰囲気があって大好きで、
いまだにCDを探していますが見つからないです。
まあ、これ観ちゃったらコミックを全巻読み返すことになるのでご注意下さい(笑)
ファイブスター物語 リブート (1) LACHESIS (ニュータイプ100%コミックス)
だからといって、この手の商売を礼賛している訳ではありません念の為。正直、買わない方が何にも増しての作者への叱咤になるのでは、と思わないでもありません。「雑誌掲載当時そのままの構成で「ファイブスター物語」が読める」、この売り文句に心揺れたのでまあ結局買ってしまいましたけど。
明らかな表記の間違いにまで注意書きをわざわざ追加しそのまま、という編集方針を徹底的に貫きこうして出したその姿勢は評価します。が、 L.E.Dミラージュのフィギュアの応募券を帯に付けてみたり、ブラッド・テンプルの画の公開をうりにしてみたりとお行儀の悪いその商売にはやはり感心は出来ず。なんといっても、中身はまんま「かつて1度読んだもの」な訳ですし。
この後1年かけて2ヶ月ごとにこの本含め計7冊出していくみたいですが、それをファンが買うのも「その後にずっと読めなかった物語の続きが出る――かも」と一縷の望みをかけていればこそ。その辺のことを本当に胸に深く刻んでもらった上で、永野護氏には「花の詩女ゴティックメード」を一刻も早く完成させてもらい、本誌の連載を再開してもらいたいものです。
ファイブスター物語 [Blu-ray]
ビデオ版も持っていますが、流石にBD版の画質は素晴らしいです。
フルHDのテレビで見ても破綻なく見れます。
原作にこだわりがある人にはOVAという作品の
性質上かなり削られていたり修正されていたり
するところはあるので気になるとは思います。
ただ、ファイブスター物語という
作品に触れるには悪くない出来になっているのでは
ないでしょうか?
ファイブスター物語 リブート (2) CLOTHO (ニュータイプ100%コミックス)
この本の一番のセールスは永野版ナイチンゲール(サザビー)やサイコ・ドーガなどの『逆襲のシャア』『ガンダムZZ』の没デザインでしょう。永野ファンには必見かと。けれど個人的には(永野氏自身もおっしゃっているように)これらのデザインには没になる相応の理由があったと思います。
古参のファンには、このリブートは今読みなおすと色々と感慨深いものがあります。扉絵に書かれた恥ずかしい詩だとか。何より、執筆された当時は米ソ冷戦が終結しておらず、フィクションとはいえ戦争観というものが今とは全く異なっていました。今の若い人は後半のコーラス6のあたりで今の対テロ戦争などを想起するのではないでしょうか。しかも、その反乱軍というニュアンスさえ左翼活動が廃れた今では全く別の物になっているのです。
第二巻を新品で買うのは三回目ですが、私はリブートを読んで、そうした世相の変化を強く感じました。その意味では価値があったと思います。