
Sign of Four: Dossier
1878年12月、インドから帰国したモースタン大尉は娘のメアリと会う約束をしますが、姿を消しました。その6年後、メアリの住所を訊ねる新聞広告が掲載され、住所を知らせたところ、見事な大粒の真珠が送られてきました。真珠は6年間送られましたが、やがて未知の友と称する人物から呼出状が届きます。そこで、ホームズとワトソンがメアリに同行することになりました。その行く先で殺人事件が起こります。
ドミノシリーズは、欄外の註がわかりやすくていい。たとえば、ホームズの決まり文句、Elementary, my dear Watson の elementary の註を見ると very easy(わけない)とある。また、本書の題名 The Sign of Four の邦訳は、『四つの署名』、『四人の署名』、『四つのサイン』などですが、本書の註は sign を a mark that shows something important と定義しています。宝の隠し場所を記した地図に強盗仲間4人の名前が書いてあるのですが、それは署名やサインではないはずです。

アレクサンドリアのフィロン入門
パレスチナに「イエス」という人物がいたとされる時代を生きていた思想家のフィロンについて総論的にまとめてある本です。
2000年前のアレクサンドリアの時代背景が本書によっておぼろげながらわかりました。フィロン自身は自分の思想の軸足をユダヤの思想においていたようですが、いかにその思考がギリシャ的なものに影響されてきたかの背景がわかります。当時のアレクサンドリアでは、ヘレニズムとユダヤ教、ネオプラトニズムなど多くの思想をもったものが行きかう都市だったのでしょう。ユダヤ教についても、通俗的にいわれていることとは異なった面があるということも本書でわかります。
ヨハネ福音書で特別な意味を待たせて使われている「ロゴス」という言葉、フィロンはかならずしもいわゆる「言葉」という意味ではなく、かなり広義なとらえ方をしているということが本書でわかりました。
フィロンの生きた時代背景、思想背景が良くまとめてある本だと思います。