こっこさんの台所
初めてこの本のことを聞いた時には、
同時期に発表されたパピルスの表紙の衝撃も相俟って、
「拒食症のCoccoが料理本を・・・!?いったいどんな体を張ったギャグだ」
なんてことを不謹慎にも思ってしまったけれど、
そこはCoccoというか、彼女の最新アルバムがそうであったように、
この本も、一見パーソナルな題材の本のように見せかけておいて、
実はしっかりと作品として独立した、素晴らしい本になっております。
紹介されている料理はどれも可愛く、見た目も綺麗で、独創性に富んでいて、
作り方を見ても出来上がりの味が想像できません。
しかし見た目が素敵なのと、材料に雑穀系や野菜系が多くてなんだかすごく体によさそうなところが、
見ていてとても心地が良いです。
合間合間にはさまれたCoccoの詩や、エッセイなども、暗いものはいっさいなし。
エッセイにはマジっすかー!?なんて書いてあったりするのがいかにもCoccoらしい、
しかし詩にはところどころ本当にCoccoらしい、ぐっとくるフレーズなんかもあったりして、調度いい塩梅。
料理本として見ると品数もそこまで多いわけではないけれども、
そこにエッセイや詩、親戚へのインタビュー、そして素敵な写真がいっぱいに散りばめられていて、
全体のトーンはまるで優しい靄のようにぼーっとしていてあたたかいので、
いつまでも家においておいて、たまにぱたっと開いて読みたくなる、そんな素敵な本に仕上がっております。オススメ。
エメラルド(初回限定盤)(DVD付)
今までのどのアルバムとも違う。
彼女はこのアルバムで物凄い脱皮した。
Cocco本人もアレンジに参加(Cocco1人によるアレンジの曲もある)して、今までにない、全く新しい音世界を展開しています。
今までにない、っていうのはCoccoの中で、というだけでなく、全ての音楽の中で、という意味。
多分、こんな音世界のアルバムって今までにどこにもないはずですよ。
今作のやっぱり大きな特徴は沖縄の言葉がふんだんに出て来る事。
でもそれを完全に昇華。
もちろん安い沖縄風のお飾りなんてあるはずがない。
あ、Coccoって沖縄の言葉で歌うとこういう風になるんだ、って多分驚くはず。
Coccoはこのアルバムで「女の情念」の世界からはもう完全に脱却。
もっと違う、もっと遠いところにある宇宙を自在に飛び交っている光が錯綜する世界、そんな印象を受けます。
是非、今までちょっと敬遠してしまっていた人にも聞いて欲しい。
そこには全く新しい音楽の世界が広がっていますから。
Coccoは昔から音楽が頭の中で鳴っている、という旨の発言をしている。
で、このアルバムを聞くとそれがよく分かります。
Coccoの頭の中で鳴っている音ってこういうことだったのかと。
いやーほんとに凄いです。この人天才。
これは凄いよ。本当に大傑作。
そして夏が似合います。
エメラルド Tour 2010(初回限定盤) [DVD]
2010年11月11日にZepp Tokyoで行われたライブ映像が収録されています。
MCは多くがカットされているみたいですが、あまり気になりませんでした。
カメラも音楽に合わせてかなりテンポよく切り替わるので勢いがあり
武道館と違う、ライブハウスならでは映像で最後まであっという間に感じます。
元々技術のある歌手ではないと思うのですが、アーティストとして本当に必要な物を持っていると感じさせる迫力ある歌声、パフォーマンス。
それらを充分に堪能できました。
嬉しかったのは『眠れぬ森の王子様〜春・夏・秋・冬〜』や『遺書。』などといった懐かしい曲が聴けた事。
ファンなら買って損はないと思います。
因みに初回特典のキーホルダーは沖縄の土産物屋で売っていそうな物でした。
ポロメリア
テンポも良く読みやすかったです。
ファンにとっては歌詞やインタビューで知っているエピソードも多かったですが
この作品の何よりなのは、思春期や子供の頃に感じる「感覚」が
とてもリアルに記録されていることでは。
さだまさしさんもそうですが、すばらしい歌詞を書く歌手の方の小説は
「専門外の片手間の仕事」ではないですね。
本人の中に、完成された世界観があり
ストーリーを作る力、言葉による描写や切り取りのセンスや巧みさ
そういったものを持っているので、それは小説にも発揮されます。
思春期の子供、かつて思春期だった大人、特に思春期を迎えようとする子供を持っている人に
その頃の剥き出しの傷つきやすい感性を感じて欲しいと思います。