ミリオンダラー・ベイビー 3-Disc アワード・エディション [DVD]
お話は、前半部分と後半部分に分かれます。
普通だったら、この前半部分で、十分に映画として成立します。
マギーは家がなく、トレーラーで育った、ホワイト・トラッシュで
成功を夢見て、ジムの誰よりも練習します。
実際、彼女の夢であるプロになり成功することはかなえられます。
しかし、ここで終わっていたとしたら、サクセスストーリーのいい映画だけど、
映画史上に残るような、素晴らしい映画にはなれなかったでしょう。
後半部分、これについては、あまりにも意外な結末で
「正直これで良かったのだろうか?」と今日になっても考えてしまいます。
それほど、衝撃的でした。
映画の作りとしては、派手な音楽もなく、CGが多用されているわけでもなく、
奇抜なカメラワークもありません。
でも、人生についてこれほど真面目に考えさせられる映画というのは
ないように思いました。
見に行ったほうが良い映画ではなく、見るべき映画だと思います。
ミリオンダラー・ベイビー [DVD]
まだ日本で公開されてからそれほど時間が経っていませんが、
もうすでに歴史的な名画のひとつになっていますね。
脚本、台詞、演技、演出、音楽、全てに無駄がなく、シンプルにストレートに見るものの心を捉えます。
これを見ないで人生を終わるのは、非常に損をしていると思わせる傑作です。
数千円と2時間をこの映画にささげて向き合ってください。
見た人によって、いろいろな感想があるとは思いますが、
僕は、イーストウッドが言うようにラブストーリーだと思いました。
社会的、宗教的、倫理的面からもこの作品を語ることは出来ますが、
ここまで心を動揺させ、一番心の奥底に届き、感情を混乱させるのは、
ラブストーリーとしての力強さの部分です。
なんでこんなフィクションのお話に、我々はうろたえるのでしょう。
まったく、なんてものを作ってくれたんだろう、イーストウッド。
主演のヒラリースワンクの可愛らしさもすばらしい。
見た人全員が彼女に恋をするんじゃないですかね。
ミリオンダラー・ベイビー (ハヤカワ文庫NV)
どんなスポーツにも、その競技特有の美学がある。
特に、ボクシングの持つ、最高に簡潔なまでに切り詰めた中にある戦いの美学は、あまりにも肉体的であるので、実際その世界にいたものでなければ語れないのかもしれない(あるいは、すべてのスポーツはそうなのかもしれないが)。そんな生の言葉がこの本には溢れている。
作者は、前書きにあるように、中年とも言える年齢になってからボクシング界に足を踏み入れ、観客としてではなく実際のファイターとしてその世界を肌で感じた。その中で見てきたものを濃縮し語ったのが、これらの短篇群であり、本を出版したときには既に70歳になっていた。その2年後には逝去しているのだが、まさかその中の1篇がクリント・イーストウッドによって映画化され、主要各賞でオスカーを独占することなど夢にも思わなかっただろう。
その映画化により、この本も多くの読者に読まれることになるだろうか(映画の方は、原作が短篇なので、物足りなく感じさせることはなく、逆に他の短篇のエピソードなど様々なエピソードで肉付けがされた秀逸な映画化となっている)。ありきたりな言葉になってしまうが、人間の尊厳を感じさせる素晴らしい物語たちである。同時に、敗北し転落していく姿を描いた悲しい物語でもある。ボクシングが人生のメタファーたり得るのは、すべてのものが紙一重の中に同時に存在するからなのだろう。
映画に胸打たれたならぜひ読んでいただきたい。ちなみにこの本、以前同じ出版社から「テン・カウント」という題で出ていた短編集が改題され文庫化されたものである。
Million Dollar Baby
映画本編はアカデミー賞作品賞をはじめとして4部門受賞で、内容については説明不要だろう。音楽もクリント・イーストウッドが制作しており驚嘆に値する。あのメインテーマの美しい響きに身をゆだねるとき、美しくそして切ないこの映画と一体になれる気がする。
このようなすばらしいサウンドトラックが国内版の半額以下で入手できるのだから、映画に感動したすべての人が購入すべきだろう。
オリジナル・サウンドトラック「ミリオンダラー・ベイビー」
今でも映像があふれ出す気がする。あの光景が体の中に流れてくるかのようだ。イーストウッドは名監督、名優であるだけでなく、ジャズ・ピアニストでもあり、その音楽好きは有名だが、自身の音楽のセンスの良さも際立つ。レニー・ニーハウスとのコンビも相変わらずいい。その存在はイーストウッドの映画の美術担当のヘンリー・バムステッドにも引けを取らない。今回はジャズについてはあれこれ語りません。その必要はないですから。じっくりと堪能して欲しい。「ミリオンダラー・ベイビー」を見た者はきっと忘れない。あなたがあれ程の映画を撮ってくれたことを感謝します。 何か強烈な決意を感じさせる彼の表情は今まで撮ってきた映画を物語っている。ここ数年は特に凄い。何が彼をそうさせるのか、私たちは彼の映画を見てその答えを少しでも導き出せるのか。文句なしの5つ星です。やられました。参りました。レビューを書くときは眼鏡をフランキーのものにします。これなら壊れませんから(既に眼鏡が壊れた後ですから)。物語を思い浮かべながら、私はこれからもこの曲を聴き続けるのだろう。あの映画を見た人たちと分かち合いたい。