バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番&第2番&第3番
シャコンヌ−今からおよそ300年ほど前に作曲された音楽です。 この時代、音楽を聴くーと、いう行為は、現代の我々がCDから流れてくるそれを気軽に楽しむーということとは少し趣が違っていたのかもしれません。 13分間も続くヴァイオリンのソロなど、あまり気楽に聴けるものではありません。 しかしこの作品、そういうものなのだ、と覚悟して聴いてみると、ちょっと途方もない音楽だということが感じ取れます。 もともとはスペイン起源の舞曲らしいのですが、一体どのような意図で、誰に聴かせようと思ってバッハは作曲したのでしょうか? あのすさまじい楽想は一体どこから来たのかー? たった一丁のヴァイオリンがつむぎ出す、壮大な宇宙―といった風格を持った曲だと私には思えました。
その後に続くパルティータ第3番の軽やかな第一楽章、懐かしさに胸をしめつけられる第2楽章、爽やかさについ微笑がこぼれてしまうような第3楽章もすばらしい。 クレーメルの超絶技巧によって(これがこの曲のベスト演奏なのかどうか分かりませんが、実演を聴いたら、その迫力にふっ飛ばされそう)この大昔の外国の曲を今自宅で聴くことが出来る、というのは素晴らしいことだと素直に思えます。 本当に芸術の価値って、規模の大きさとは関係ないのだ、と感じせしめる、ある意味究極の音楽だと思います。
クレーメル青春譜
クレーメルについてはあることをきっかけに興味を持ち音楽を聴いてしか知らなかったが、この本を読んで時代背景が人物にいかに影響するかが改めて思い知らされた。生まれた国、育った国は、その人の運命や生き方を決定付ける大きな要因になるということを認識することは、平和な日本に生まれ育ったものとして本当の意味で理解することは難しいのかもしれない。この本に触れて、初めて思うところであった。これが一つ目の発見。
もうひとつの発見は、個人的な意見だが、クレーメとリストが音楽家として似ている点が多くあるような気がする点である。以前リストの伝記を読んだことがあり、彼の家庭環境、音楽に対する考え、プライベートな付き合い、女性関係も含めて、行動パターンが似ているなあと感じた。どちらも、女性にとっては放っておけないタイプということも!似ている。私もファン!
サン=サーンス:動物の謝肉祭
聴いていて楽しい、動物たちと一緒に踊りたくなってしまうような小品集です。アルゲリッチとその仲間たちが、こんな面白い曲を演奏してくれることに嬉しさを感じます。そんな中でも「白鳥」だけは真面目な曲で、聴いたことがない人がいないぐらいの名作ですよね。それが実は動物の謝肉祭の中の1つだったとは。新鮮な驚きでした。
ギドン・クレーメル 琴線の触れ合い
日本語訳は1998年12月10日リリース。クレーメルは現在まで3冊の本を書いているが、邦訳されている2冊の内の一冊である。
読み出すと『へえ』と言いたくなるようなエピソードばかり。最初に演奏することでギャラを貰ったのはお葬式だったり、ショルティの下手くそなコンサートの後にわざわざ楽屋まで行ったのに適当にあしらわれたり、演奏会にヴァイオリン・ケースだけ持っていって中身を忘れたりと驚くようなエピソードばかり。作曲家に対するコメントより、世界中を回るコンサート会場やホテルでのエピソードが多い。
弾いていてヴァイオリンの弦ではなくて、弓の方が切れてしまった話とか、マイスキーは3本も弦を切ってもコンサートを凌いだ話とか、リヒテルが演奏していてピアノのペダルが壊れて、職人がまるで車の下に潜るようにして修理し、その後何事もなかったかのように最初からベートーヴェンの後期ソナタを弾ききった話とか・・・・・驚きの連続である。そういう意味でも面白い一冊だ。
ベルク:ヴァイオリン協奏曲 [DVD]
マラーの娘の死を悼んで作曲されました
第二楽章にバッハの旋律が登場して驚きますが
ベルクの深い悲しみがあふれています
この曲を作った後ベルクは急逝します
はからずも彼の白鳥の歌となってしまいました
数あるヴァイオリン協奏曲の中で最も悲しく美しいのです