法隆寺の謎を解く (ちくま新書)
梅原猛氏の「隠された十字架」への反論だと聞いて、読んでみました。
でもそれだけの本ではないのですね。この著者独自の明確な法隆寺像、建立にまつわる全体像があり、説得力もあるので引き込まれる。皆様のレビューが高評価なのも納得です。
前半は、ゆったりしたペースで進み、まさに「めぐる作法」の感覚で、謎の焦点から離れたところを大きく回っている感じ。結構じらされます。
でも、それは著者が自分の見解に至るために通った道筋を再体験する、ということのようです。そこをめぐって来たからこそ、後半の展開にすんなりついていける。
メインは「法隆寺中門の柱の謎」と、「法隆寺“再建”の謎」で、どちらも納得のいく答えが出されているので、この時代に興味がある方にはおすすめできますね。
自分的には、特に後者の謎がスリリングでした。
創建法隆寺の向きなど、言われるまで気付かなかった。ものすごく触発されました。
ちょうど同時期に「古墳とヤマト政権」という本を読んでいたのですが、どうも大仙陵古墳のような大規模古墳の造営が減少する時期と、寺院建築ラッシュの時期が重なるようです。合わせて読んだら、記紀が語るのとは少し違う歴史の姿がおぼろげに見えてくるようなこないような。ただそこで見えてくる「真実(?)」の解釈がちょっと著者の方と違っていたので、たいへん勝手ながら☆一つ落としました。
本当は、☆4.5くらいの評価です!!
ミスタードリラー サウンドトラックス
最近のナムコサウンドチームは往年のナムコ音楽とはまた違った意味で
レベルが高いですね~。
ドリラーシリーズの音楽って、よくよく考えると
必ずしもゲーム自体にぴったり!という曲ばかりではないのですが、
これだけクオリティが高いとまったく気になりませんでした。
この高品質な楽曲群がCDではよりクリアな音質で楽しめます。
わたしはゲームボーイ版はこのCDではじめて聴いたのですが、なにか
オールドゲームミュージック魂を「じくじく」と刺激されましたよ(笑)
今年中に斑鳩が来なければ、これがベストオブイヤータイトルなのは
間違い無いところで、仮に斑鳩サントラが出たとしても
パフォーマンスの点でドリラーCDが判定勝ちだろうなぁ。
斑鳩 ikaruga Appreciate DVD
私は、スーパーファミコンの初期くらいに
シューティングゲームを1本遊んで以来、
難しさに打ち砕かれてシューティングという
ジャンルそのものを敬遠していました。
特に、弾が画面中に散らばっている画面を見ると
ヘタクソな自分には遊べないと思って避けてました。
このゲームも、弾は多い。難しい。
でも、システムはややこしそうで実はシンプル。
他と違う新鮮味も。
敵の弾をかわす、もしくは利用する。
これらの要素はゲームを触ればすぐに
覚えることができます。
コントローラーで使うボタンだって少ない。
コンテニューも親切な時代になりました。
入り口がとても低く丁寧に作られています。
「こんなものクリアできるか!」
と思っても、お手本が用意されています。ここで
「まだがんばれる!」
と思わせてくれた制作者さん達には頭が下がります。
気がつけば、達成感と充実感、
ゲームならではの感動に導かれていました。
難しいゲームだけど、やさしさがある。
easyではなくてkindの優しさ。
おかげで久しぶりにゲームに帰ってこれました。
斑鳩 IKARUGA (GameCube)
シューティングゲームは過去のものだとされがちな今の風潮に一石を投じた作品。オーソドックスな縦スクロールシューティングかと思いきや、高得点(チェーンコンボ)を目指した途端、これまでのシューティングの枠を飛び越えた発想が要求される。
冷静な状況判断と正確な操作、精神的持久力に加えて、イマジネーションを触発される、自分を試すのに最適なツール。右脳と左脳をフルに使って、高得点を叩き出そう!
隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)
この本の一番のミステリー。
それは梅原氏がなぜこんなタイトルをつけたかということです。
聖徳太子とキリスト教(太子の後ろ盾、秦氏が信者だったという景教)との関係は
本文中には明言されていないのにもかかわらず、どうして、と思われませんか?
最初はそこまで触れるつもりでこのタイトルにしたが、論点が別方向へ向いて、
とてもそこまで行き着かなかった、というのであれば
本にするときもっと内容に相応しいタイトルに変えた筈です。
担当編集者も、まったく書かれていない事柄を本のタイトルにすることに
躊躇したかもしれません。
だって、え、法隆寺に十字架!? と、思わず歴史好きが惹きつけられてしまうタイトルなのに
看板に偽りあり、ですもん。
なのに、作者も担当編集者も、あえてこのタイトルにした。
へんだと思いませんか?
梅原氏は己へ宿題を残すつもりで、あえてこのタイトルになさったのでしょうか。
でも、その宿題はお預けのまま。
後に続くものに期待しているのかな。
それとも実証するにはあまりに資料が乏しく、諦めたのか。
謎ですねぇ。