物語のようにふるさとは遠い
1曲目からものすごい衝撃を受けました。
こんなCDは世界中探しても他にないと思います。
耳ざわりのいい曲では全くありませんが、どうしても頭に残ります。
音楽と詩の中間地点にあるような、非常に不思議な感じです。
とにかくすごいです。圧倒されました。
男流文学論 (ちくま文庫)
単行本が出たのが10年前なこともあり、一般的な読者にとっては、ここで取り上げられている「男流」達は村上春樹を除いてあまり「今」の人たちではありません。でも世間では傑作扱いされている沢山の「男流」作家作品に描かれている、女性のありように対し、「何コレ?」「こんな女性いるわけないでしょ」「勝手にこんな女性像を押しつけないで」、とシラけた経験のある女性にとって、胸のすく思いがする本です。
波うつ土地・芻狗 (講談社文芸文庫)
すごく醒めている。それでいて思索的だ。
ロレンスの作品に言及している一節があるが、確かに本作は、ロレンスの対極に位置している。ここで描かれている「エロス」は徹底して虚無で、無機質だ。
途中で女の友人が登場するが、これは作者の詩「水いらず」(これも大変良い作品)を想起した。しかも、彼女の運命たるや、えげつないことになっている。
富岡多恵子は他にも「当世凡人伝」という傑作をものにしているが、この作品もやっぱり「当世凡人伝」だと思う。
富岡多恵子の文学には「文学的な飛翔」はついぞ訪れない。
もしバタイユが「文学と悪」で、この作品を取り上げていたら、きっと絶賛していたんじゃないかな、と思う。
桜の森の満開の下 [DVD]
旅人を襲った山賊は女を手に入れるが、その美しさに魅せられ女を満足させるため無理して都会に住んだり、人を殺して切り落とした首をあたえたりすようになる。最初は力と暴力で自分の物にするつもりだったのに、女のペースにはめられ抜け出せなくなり、哀れな最後を迎える事となる。これは時代劇とは全く違う、独特な感性の世界で岩下志麻演じる女が本当に人間なのか、いつの時代でドコの話なのか全然分からないし(知っても意味無いし元々設定もないだろう)あまりに現実味が無く誰かの妄想を覗いているような不思議な気分です。”桜の下には死体が埋まってる”とか”人を狂わせる”とかダークなイメージもある桜を使って、狂気の世界を表現するラストあたりになるともうすっかり訳分かんなくなってて、でもそれでいい、何かハッキリした答えなんかなくてもいいや、って気になります。
壷中庵異聞 (1978年) (集英社文庫)
※「壷中庵異聞(こちゅうあんいぶん)」カバーの解説文からの転載。
「自ら"壷中庵"と号し、豆本づくりに生命の焔を燃やした横川蒼太は、誰の目にも偏屈な老人とうつった。一周忌に集まった人々から聞く、老人の意外な奇行、春本、猥本、ストリップ等に異常な関心を示した彼が、執拗なまでに求めたものは……。老人の風貌と魂をあざやかな筆致で浮き彫りにした異色作。 解説・田中美代子」