Made in Europe
いまでこそ再編集盤がリリースされていろいろな音源に触れることが可能になった第3期パープルですが、このアルバムは第3期での唯一のライブ音源として、長い間、大変貴重な存在でした。個人的には中学生の頃にアナログをそれこそ擦り切れるまで聴きこんだものです。
データによれば1975年のパリ講演での出来栄えが良かった曲を収めたものになっていますが、周知の通りこの時期はリッチーが脱退するかという微妙な時期で、ライブにしてもあまり気乗りのしないプレイが多かったというのが真相のようです。そこらあたりは、数多と出回っている海賊盤を聴いていただくと分かるのですが、1ステージをフル収録したライブ盤などというものは、とても商品としては成立しなかったのではないかと推測されます(もちろん、そこら辺に転がっている凡庸なバンドに比べれば遥かに高いレベルの演奏なのですが)。
そんな楽屋話はさておいても、ここでの演奏は素晴らしいの一語です。特に「Mistreated」や「Stormbringer」はスタジオテイクを軽くしのぐほどの出来栄えではないでしょうか。第3期でのライブは、3期としてのオリジナル曲が少なかったということもありますが、「Smoke On The Water」などの2期の曲も演奏していましたが、どうもカバーデイルやグレン・ヒューズのヴォーカルに合っていないように感じましたし、本人たちも仕方なく演奏していたような感じがしていました。聴く観客も懐メロ志向(?)の人はともかく、何となく興ざめに似た感覚を覚えていたはずです。やはり2期は2期、3期は3期なのです。ここでは、あえて3期での曲に絞ったことで、成功しているのではないでしょうか。
Jesus Christ Superstar (Original London Concept Recording)
アンドリュー・ロイド・ウェバーの出世作、ロックオペラの金字塔として名高い「ジーザスクライスト・スーパースター」のオリジナルレコーディングなのです。発表当時、ウェバーは22歳。
すげえや。
内容をひとことで言えば、キリスト最期の7日間をロックンロール
で歌い上げているということです。
僕はキリスト教徒でないので実感は湧きませんが、おそらく当時は世界に衝撃が走ったでしょうねえ。
とりあえず、必要以上にソウルフルなイスカリオテのユダが熱く歌うHeaven On Their Minds、そしてその直後、ファンキー&グルーヴィーなWhat's The Buzz、そして魂が洗われるような美しい5拍子のEverthing's Alrightの冒頭3曲で、完全にノックアウトです。
カッコよすぎです。
そして、イエス・キリストも随所でシャウトしまくりです。
死を覚悟し、ついには受け入れることを決心する場面Gethsemaneでの「Alright I'll die! Just watch me die! See how die!」の叫びは、泣いちゃいます。
他にも聴き所がいっぱいだけども、このCDを聴く前か後に、ノーマン・ジュイソン監督の映画版を御覧になったら、ますます楽しさ倍増です。
ぜひぜひ御覧になって下さい。
ライヴ・アット・ザ・レインボウ 1977 [DVD]
ハード・ロック・シャウターとしての認識がメインのギラン師匠ですが、この時期のインタビュー(今はなき『GORO』)を読むと、ハード・ロックにウンザリしてしまい、ジャズやファンキー・ミュージックに入れ込んでいるということがわかります。以前、以降、どの時期とも違う黒人女性を思わせるヴォーカル・スタイルで挑んだ『鋼のロック魂』、パープルを期待すると肩すかしを食らうかもしれませんが、直線的なハード・ロックでは実現できなかった壮大な叙事詩に詩人ギランは挑戦しています。宗教的でさえある歌詞に、民族音楽までからめたファンキーな楽曲。ここ以外ではありえない唯一無二のオリジナリティに圧倒されます。そして、日本公演。観衆の大多数は違和感を感じながらも、生まれ変わったギランを歓迎していました。確かに。そうして、同時期のライブがこれです。アルバム収録の曲はもちろん、パープル時代の楽曲も、この時期のギランに相応しい、まったく変わった表情をみせつけてくれます。
Out of My Mind
さすがこのメンバーだけあって演奏内容は素晴らしいです。 ただ2曲だけなので物足りなさがのこる中途半端なCDとも言えます。 まあシングル盤と考えればいいのでしょうけど。1曲目のOut of My Mindはどちらかというとこれまでにもありがちな曲調ですので2曲目のHoly Waterの方が聴きごたえがあるように感じました。おまけで収録されているドキュメンタリー映像をみると今回の録音は20年前のアルメニア地震の救済チャリティーでやったSmoke on The Waterの延長線にあって、アルメニアの学校を支援するためのチャリティーのようです。 この価格、内容、そしてチャリティーへ貢献すると考えれば買って損なし。