真夜中の弥次さん喜多さん 愛と幻覚のセレナーデ
私は原作も読まず、映画も見ずにこのCDを聞いたので、独特な弥次喜多シリーズの雰囲気に最初は付いていきにくさを感じました。
主人公二人の絆は表現されていますがほとんど甘いシーンはなく、恋愛モノではなくギャグCDのようです。
また音だけで表現されていて、よく意味が分からないと感じるシーンがあります。
けれど出演声優の演技は面白いと思います。
話というよりは、出ている声優陣が好きだという方のほうが楽しめるのではないかと思います。
「真夜中の弥次さん喜多さん」オリジナルサウンドトラック
大好きな向井秀徳氏による音楽ということでどんなかんじかなー?と思っていたら、なんと『半透明少女関係』が使われているようで、いちファンとしてとっても嬉しいです。名曲です。一度聴いたらきっと耳に残ります。ナンバーガールの頃の鋭いギターと現在のザゼンボーイズの男くさいようなどっしり感がうまいこと調和されていて素敵です。きっとあなたも車に乗りながら大音量で聴きたくなります。
真夜中の弥次さん喜多さん DTS スペシャル・エディション(初回限定生産 おいらとおめぇの弁当箱版) [DVD]
数年前から何度もレンタルで借りて観ていて、いっそのことと思い特典付きを購入しました。定価よりかなり安くなっているので、通常版とどちらを買うか迷っている人はこちらが断然おすすめです。
映画についてですが、私はDVDがレンタルで出たときに観てどっぷりハマってしまいました。
終始観客へのサービスてんこ盛りでクラックラします。それが気持ちよくて何度も繰り返し見てしまいます。生と死、現実と幻覚、愛と憎しみのごちゃまぜ感は、ドラッグムービーと言っていいのか分かりませんが、私はこの中毒的な快感にしびれています。
正直、工藤監督脚本の他の作品(具体的には「舞妓ハーン」と「少年メリケンサック」)はノれないこともあるので、それらが好きな人はこの映画を気に入るのかは分かりません。弥次喜多と近い時期のテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」が好きな人はこの映画も気に入るかと思います。
肩の力を抜いて中毒的な気持ちよさにクラクラしたい方、お勧めします。
東海道中膝栗毛 上 (岩波文庫 黄 227-1)
東海道中膝栗毛は映画化や翻案されたドラマなどでも有名ですが、省略された部分が多いのが実態です。江戸を出立した弥次喜多コンビが東海道をお伊勢参りまで行く道中を、名所旧跡、宿場や街道の当時の様子を生き生きと描写しています。 黄表紙は貸本も含めて広い層に読まれましたが、膝栗毛は軽妙な語り口での観光ガイドとしてベストセラーになりました。
伊勢では御師の家や供応の子細がよく描写されて、当時のお伊勢詣りの様子がよく分かります。また、弥次喜多はあちこちで狂歌を読むのですが、これが傑作です。膝栗毛のヒットにより続編が出版され、弥次喜多は伊勢から奈良街道を宇治を経由して伏見へ行き京見物をしたあと、淀川を舟で下ります。
「せうべんを 人にのませしそのむくひ おのれものんで よいきびしょよなり」と、弥次さんのいたずらぶりは大人とは思えません。そうして枚方のくらわんか舟をからかって大坂の八軒家で降りて大坂見物もします。
作中のやりとりは当時の口語体で書かれているので、特に古語の知識がなくても分かりやすく、なじみのない言葉は下段に脚注があるので思いのほか読みやすいです。
挿絵もありますし、古典とはいえ軽い内容なので、マンガ本のような気楽さで楽しめました。
蛇足ですが、十返舎一九の辞世の句がまたふるっています。
「この世をば どりゃお暇(いとま)に 線香の 煙とともに 灰(はい)左様なら」
軽妙な江戸時代人に触れてみてはいかがでしょうか。
真夜中の弥次さん喜多さん DTS スタンダード・エディション [DVD]
この作品の中に散りばめられたギャグは数知れず。
もちろん笑えるところはいっぱいあるのだが、ストーリーが複雑になっていって、
今は現実の話なのか、夢なのか、それとも妄想なのかわからなくなる。
見終わったとき、結局何が言いたかったの?とも思えてしまい、テーマが見えてこなかった。
それでも、豪華なキャストが魅せる笑いは十分に楽しませてくれる。
個人的に好きなのは、板尾創路。
今までのクドカン脚本の作品を見てきて、過剰に期待していたので、
少し肩すかしをくらった作品だった。