きかんしゃやえもん (岩波の子どもの本)
大井川鐡道で、SLに乗った事がきっかけで、やえもんが懐かしくなり、思わず注文しました。子供の頃は、交通博物館に引き取られたやえもんが「安らぎの地」を見つけたことが嬉しかったですが、大人になって読み返してみると、「まだまだ、現役で頑張れるのじゃない?」と、もう一度やえもんを走らせてあげたくなってしまいます。日本のあちこちで、「お年寄り」の蒸気機関車たちが観光客を乗せて活躍しています。大井川のSLも、気のせいか誇らしげで、最新型の列車よりももっと堂々としていたようです。やえもんが観光用として復活する続編があったらいいのになあと思いました!
山本五十六 (下) (新潮文庫 (あ-3-4))
パリに赴くくだりで、思わず目頭を押さえた。大人の山本とや
んちゃな軍令部。そういう表現が適切かもしれない。暗い話だとは思うが、今人生に
つまづきを覚えている人に是非読んでもらいたい。
山本五十六 (上巻) (新潮文庫)
本書を含めた、阿川弘之の海軍提督三部作を読むと、もう他の伝記作品は読めないのではないかと思われる程、素晴らしい伝記文学である。 伝記というとどうしても偉人崇拝的な筆致になる嫌いがあるが、本書ではそれは見受けられない。例えば、山本五十六が大本営参謀辻政信により、陸軍の厳しい戦況を訴えられ、海軍の応援を約束する行で、「山本はハラハラと涙をこぼし」とある。普通なら、「山本はそれほど情に厚い将軍であった」となるだろうが、本書では、「これは本当かどうかわからない」と続くのである。
漫然と読んでいてはなんだかよくわからないのも、本書の特徴に一つであろう。つまり、読者に考える余地を与えてくれているのである。しっかり頭を働かせながら、深く読めば、山本五十六という「人間」を見つめ、歴史的にみてかれに良かった点、悪かった点を冷静に見つめることとなる。そして結局、「でもやはり、偉大は人物であった」ということになるのではなかろうか。これは、「海軍提督三部作」に共通して言える事である。
生きるとは何か、戦とは何か、組織とは何か、歴史的、大局的認識に基づいた判断とは何か・・・。考えずには居れない作品である。