STARTING OVER
「さぁ、がんばろ〜ぜ〜!」の歌声に惹かれ購入し、これがきっかけで今まで出されたエレカシのアルバムを、今なんとか制覇しているところです。
以前よくテレビに出演していたバンドという記憶しかありませんでしたが、知れば知るほど、多彩な楽曲や日常に根ざした詞の奥行きの深さ、説得力ある歌声とバックバンドの疾走感に、ぐいぐい引き込まれているところです。
永年のファンと違い、短時間でエレカシの楽曲を遡って聞いているわけですが、今回のアルバム「STARTING OVER」は今まで経てきた年月の集大成に近づきつつあるのかなといった印象を受けます。アルバムに収録されているひとつひとつの曲が、今までチャレンジしてきた音楽性を異にする枝先の、一つの実となって結実しているといったような…。
個人的には「俺の道」が一番好きなアルバムで、コンセプトアルバムに慣れ親しんできた世代としては(エレカシと同世代ですが)、今回の作品は、一聴、統一感が無い印象を正直受けます。が、エレカシ普遍の主題である、青春へのオマージュと明日への希望がそれぞれ色濃く絞り込まれ、詞も曲も洗練され、例えて云えば、写実画からシンプルで滑らかな線描画へ移行する過程にあるように思えます。
どの曲も個人的には好きですが、「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」これは珠玉の(!)名曲だと思います。同様な心象風景を荒井由美は「あの日に帰りたい」と歌っていましたが、この曲を聞くとあの頃の情けない自分が蘇り、辛くなり、むなしい思いを抱えたまま一人きりの部屋へは戻りたくない。。。。もう、戻れない。。。と、どうしようもなく切なく胸に響き渡るのです。詞・曲・歌・演奏、どれが欠けてもこの曲は成立しないと思えるほど全てが一体となり、完璧なまでにその一瞬の光景が、胸に焼き付きついてきます…。
でも、名曲を後世に残すには、題名は短くないと(!)というのが私の見解ですが…?
エレファントカシマシ、心から、今後の御活躍を応援しています。
熱いファンの中に、いざ、参入です!!!!!!
俺たちの旅・青春の詩~俺たちシリーズ主題歌・挿入歌集~
これはすごいです。何がすごいって、主題歌のみならずシリーズ中に一度だけしか使われていない挿入曲まで網羅されてるんですから。石橋さんの「千住大橋」なんて本人ベスト盤にももれてるのにコレで聴けたのは感謝の一言。まあ、コロムビアがマスター借りた際にあえてクラウン側が「じゃあうちのベスト盤ではダブらないようにしよう」と考えたかどうかはわかりませんけど。二人でアパート探しの甲斐もなくフラレた玉三郎の壮絶なラストへ続くシーンが目に浮かびます。コレは名曲です。
SONGS I
「悲しみに出会うたび あの人を思い出す…」で始まる「ふれあい」始め、団塊世代にはたまらなく懐かしい名曲ばかりです。常にカッコよく青春を謳歌していた中村雅俊も、もう還暦ですね。自らの青春期代の思い出と重ね合わせながら、ときに彼の歌を聴くのも楽しみです。
君たちに明日はない (新潮文庫)
’05年度「第18回山本周五郎賞」を受賞した、5編からなる連作短編集である。
村上真介は33才。リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト(株)』に所属している。今日も今日とて依頼先の企業の会議室を借りて、23才・美形のアシスタント・川田美代子を従えて、先方の人事部になり代わってリストラ対象者との面接だ。いや、面接とは名ばかりで、実際は自主退職の督促をするのだ。何人辞めさせたかという実績が、ヒューマンリアクトという会社に対する評価、ひいては会社での彼個人の評価にもつながるのだ。
相手先企業もさまざま。建材メーカー、玩具メーカー、メガバンク、コンパニオン派遣会社に音楽プロダクション。被面接者にしてみれば、人生の危機・ターニングポイント、養うべき家族もいれば家のローンもある。当然面接の場では修羅場が演じられる。
私もこの手の話には、年齢的にもまったく縁が無いわけではないので、何となくわが身に置き換えてみると、身につまされる。
ところが真介は、「おれはいったい何をやっているんだろう・・・。」と思いながらも、まんざらこの仕事が嫌いなわけでもなさそう。彼なりのポリシーを持ち、真面目に取り組み、事前の準備も怠り無く、きちんと仕事をする。実績も着実に上げているようだ。
反面、第1話で出てきた8才年上のリストラ対象の建材メーカーOLと、ちゃっかり恋人関係になってしまったりする。
本書は、リストラという今日的な重いテーマを扱いながら、村上真介というキャラを緩衝材にして、笑って、唸って、泣かせるストーリーに、上手く仕上がっている。
俺たちの旅 十年目の再会 [DVD]
俺たちの旅最終回から10年。
このスペシャル版は三人がその後の人生をどう生きているのかと云う説明から始まる。
グズ六は社長に、カースケは変わらず自由を楽しむ自由人、オメダは苦悩の末失踪と三者三様の人生だ。
10年前、南米に旅立ったヨーコはしがない学者の妻となって不幸な境遇となっている。彼女の薄幸なる人生はこの10年目より書かれて行くのだ。今回の特筆すべき点はカースケが最初で最後のヨーコに始めてと言ってよい告白的なセリフを言う場面だ。
しかしヨーコは同情と受け取ってしまう。カースケを愛しつづけた彼女の歳月は 余りにも長い歳月でありすぎたのか?
その後ヨーコの早すぎる死によって二人の旅路は永遠に交わる事無く終わる。
後の20年目で 今生の別れを遂げる二人の悲しい結末の序章がここにあるのだ。