リバース・オブ・ディセクション [DVD]
この素晴らしいライブDVDを入手した一ヶ月後に、雑誌でJon Nodtveidt 死亡を知りました。ただただ残念。 内容は最初はスキンヘッド&多少お太りになった姿にエッ?となりますが、名曲の波状攻撃にグイグイ引き込まれていきます。なによりもお客のノリが凄い。 このファン達を置いて勝手に逝ったJonの生き方は私には理解できない。映像で観る分には「気のいいメタル兄ちゃん」にしか見えないのですが・・。 ひとつ残念なのはインタビューに日本語字幕が無いこと。多少高価になってもこの手の音楽のファンは迷わず購入するのでは? その点をマイナスしてもやっぱり5つ星の名作です。保存用にもう1枚購入しました。
Somberlain (Bonus CD)
北欧出身のブラック・メタルバンド、DISSECTIONの1stアルバムです。曲自体にスピード感は欠けますが、メロディがメロデス調です。DISSECTIONを知らないブラック・メタルファンならば一回は聴いておくべきです。
あと、メロデスファンにも聴いてもらいたいですね。結構注目されたバンドなのですが、バンド内に悲劇が起きます。2006年、リーダーのジョン・ノトヴェイト(g.vo)が自宅で頭を撃ち抜き自殺を図ってしまったのです。
才能のある人だったのに…。ブラック・メタルファンならばジョンのために買ってください。そして、ジョン。安らかにお眠りください…。
Zollinger's Atlas of Surgical Operations, Ninth Edition (Zollinger, Zollinger's Atlas of Surgical Operations Zollinge)
皆さんご存知の有名な外科学アトラスです。術式、郭清、吻合法など日本の一般的手法と異なる部分が多々ありますが、それを補ってあまりある、イラストの美しさ。必見です。手術記録を描く時にも役立ちます。一冊、持っておいて損はしません。
Reinkaos
Dissection復活作にして最終章。
出所後の彼は精力的に活動を再開させていったのだが昨年の夏に自殺。結局ファンを裏切る形で幕を下ろした。この作品は彼の亡くなる三ヶ月前に発表されたオリジナルとしては実に11年振りとなる作品。
かつてのブラックメタル色は殆ど影を薄め、正統派HMやトラッド・フォークとデスメタルを融合させたいわゆるメロディック・デスメタル作品。日和ってしまったとか棘がなくなったとか意見は様々だが、楽曲構成・演奏技術など作品の全体レベルはかなり高度であり、彼が先駆者の一人であることを改めて実感した。
振り返れば全盛期の2nd発表した95年頃の某雑誌インタビューで彼はブラックメタルもデスメタルも同じものだと断言していたが、Dissectionなんてバンド名そのものがブラックメタルとはほど遠い。結成当時のスプラッターなイメージとその後のイエテボリ超アンダーグラウンドシーンで活躍をする彼等。さらにはインナー・サークル等悪名高き90年代北欧ブラックシーンとの交流を経て、ある種のムーブメントから日本やアメリカからも着眼され、メロデス先駆者、注目株として着々と進化を見せ続けていた。その彼等だがドイツの大手レーベルニュークリア・ブラストとの契約後もそのマニアック性を失うことなくあくまでそのものの発展型である辛口アプローチでリスナー世間を驚かせ、ビッグバンドとなっていく…。これまでの彼の履歴を考えれば、この3rdアルバムも紛れもないDissectionのアルバムであることがわかるはずだ。
恐らくジョン・ノドヴェイトは、デスメタルを演じるにあたって重要なのは、残虐性や悪魔崇拝という観念より、自分たちそのもののカルト性こそ大事であると考えていたのではないであろうか?
彼は本物だった。
Dissection: Photographs of a Rite of Passage in American Medicine 1880-1930
医学部の学生が解剖実習の最中に「壁に耳あり障子に目あり」と死体でふざけてみせて、退学になったという都市伝説がある。それは死者の尊厳を冒涜するけしからん行為だ、と。でも、ぼくは医師にそういう道徳を要求してはいけないと思う。あくまで冷徹に単なるモノとして人体を扱えなければ医療なんかできない。常人とちがう目で人を見られなければ医者の資格はない。そういう精神を得るためには、死体を冗談のネタとして扱うのも十分ありか、必要なことだろう。
そして実は、世界中でいまも昔もそれは行われていることだ。本書はアメリカの医学生たちが残した、解剖実習の死体記念写真だ。どれもジョークばかり。死体に服を着せてポーズをさせたり、寸劇を演じさせたり、ふざけた銘板をつけたり。あまり公然とは公開しなくても、内輪ではみんなが撮って、みんなが回覧していたらしい。本書はそれを大量に集めてみせる。
不謹慎だ、と顔をしかめる人もいるだろう。それと、一応死体の写真集なのでグロはグロだし、決して趣味がよくないのも事実。でも本書の学生たちは、死体をモノとして切り刻む一方で、こういうジョークを通じてそれが人間であることを必死で再確認しようともしている。悪趣味ではあっても、それが本書の写真に奇妙な真剣さを与えている。本書をみて、一方でぼくたちが死体に対して持っている迷信じみた思い入れを再確認するとともに、医学というものが本質的に持つ困難も感じられるのではないか。いま、変な人権配慮から、こうした死体解剖もやりにくくなり、バーチャルな解剖で実習をすませようという運動もあるとか。それがいいことかどうかも、この不思議な美しさと楽しさと気色悪さを兼ね備えた本書を眺めつつ、お考えあれ。おそらく同じテーマの本は二度と作られることはないだろう。