波の盆 [DVD]
日米開戦にともない日本とアメリカの板ばさみになったハワイ日系二世の悲劇を余すところなく描いた実相寺監督の傑作のひとつ。
主演の笠智衆さん絶品の演技、もうこのような俳優は二度と出ないだろうな。加藤治子さん美しかった。武満徹さん音楽素晴らしい。
一人でも多くの日本人、アメリカ人双方に見てもらいたい。
戦争は個人、家族、一族にたとえようのない悲劇をもたらすことを
再認識しよう。
武満徹全集 第1巻 管弦楽曲
CDの内容はもちろん、書籍の充実ぶり、そしてすばらしい装丁と三拍子そろった全集である。ありきたりの解説記事ではなく、演奏評や新聞・雑誌の記事などをドキュメント風に編集しているのも好ましい。CDの演奏も望みうる最良のものといってもいいと思う。この全集によって日本での武満の評価が正当に確立されることを望む。
波の盆
ハワイの日系1世、山波公作(笠智衆)と妻ミサ(加藤治子)の1910年から1983年までの戦争を挟んだ日系移民の苦悩をテーマにした、倉本聰 脚本、実相寺昭雄 演出(!)による2時間ドラマのサウンドトラック盤のCD化。岩城宏之:指揮、東京コンサーツによる15曲、33分の美しいメロディに溢れた「音楽」です。1曲目のタイトル曲からあまりの美しい主題に圧倒されます。15曲の内、6、7、11曲目は、戦争の悲劇を表すため、異なる印象を受けますが、4曲目の「ミサと美沙」に現れる(ミサのテーマ)とのふたつの主題とその変奏曲により構成され、各楽器が次々に主題を受け渡すのだが、それが全く違和感無く全曲聴き通してしまう。このCD、実は、テレビ用録音の別テイクを収録しており、実際の放送では、映像に合わせるため、テープ編集されたものが使用された。指揮者:岩城氏によると、録音時に泣いてしまったそうで、他の人の音楽では、まずなかった、と2004年小学館発行の「武満徹全集 第5巻」で述べています。その全集は、この録音全曲はもとより、他のテレビ・ラジオ作品等CD14枚と450ページの解説、特筆すべきは、2004年に発見された17才の時の処女作「二つのメロディ」やジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」のために録音したが、監督が音楽の強さ(美しさ)に画が負けるから、という理由でお蔵入りしたテープ録音全曲などを含んでおり、単売していない美しい武満音楽が堪能できます。このCD10枚分の価格ですが、ファンなら、お勧めです。なお、1996年に6曲の組曲版に編曲しており、シャンドスから尾高忠明・札幌交響楽団の録音が入手できます。