やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)
会社との出会い。それは伴侶との出会いにも似て、だとするとこんな痛快なぶっとびな会社と「相性」が良いというのも、またそれだけでひとつの才能であろうなぁと思われます。
そんな痛快な会社のあれこれを、これまた痛快な大作家お二人がほぼ体験記状態で描き出すのですからつまらないわけがない。
作風もまたそれぞれで二度おいしい構成。ナイスです。
かつて感動したオールドと肴のシリーズ広告や、極端なあの発想が好きだったペンギンズバー。
こんな会社だったからこそ生まれたのね、と感慨もひとしきり。
権力の館を歩く
抜群に面白かったのは、戦後の歴代総理大臣の私邸。吉田茂は大磯御殿まで東京からワンマン道路を引っ張ってきただけでなく、旧朝香宮邸(現東京都庭園美術館)を公邸として使うという贅沢さ。そして官房長官、官房副長官、党幹事長と側近などよる目黒公邸での朝食会で全てを決め、閣議ではジョークを飛ばして終わり、というわがままぶり。
自民党時代の「権力者の館」の原型をつくったのは、復活を狙っていた岸信介の御殿場邸という指摘も面白かった。こうした権力の館は接客、住居、サービスの3部門が必要で、いざという時には、3つのスペースが連続して使用できるようなものが望ましい、というのが設計を担当した吉田五十八の考えで、それらは、歴代総理の館にも踏襲されていきます。今は鎌倉文学館となっている佐藤栄作の鎌倉別邸は近く、行ってみようと思いました。なにせ、元は加賀・前田の殿様の別荘。二階のテラス、三階のバルコニーからみはらす由比ヶ浜のパノラマは最高だそうです。
また、田中角栄の目白御殿は、陳情客などをうまく流すことを主眼につくられていたそうですが、それはカネなどもフローとして流す発想につながっている、という指摘にはなるほどな、と。また、有名な背広にゲタばきスタイルで池の鯉にエサをやる姿は《都会人の恰好をしながらも、御殿ではゲタで歩くことで、田中は魔物にとりこまれない姿勢を示したのではないか》というあたりも素晴らしいな、と。この姿を東京育ちの山口瞳さんは強烈に批判していた文章を覚えていますが、角栄さんの心情までは推測することはぼくもできませんでした。
40女と90日間で結婚する方法 スペシャル・エディション [DVD]
昨年レンタルでこの作品を観てから、ずっといつ販売するのか気になってました(^^)
販売したらゼッタイ欲しい!・・・と思ってたんで。観た後とてもシアワセな気分にさせてくれる作品ですよ。
主演の市原隼人の真っ直ぐな視線は、ファンでなくても胸キュンものですし。
飯島直子の飾らないキャラクター、本音のシーンには思わず共感して笑ったり、ホロッとさせたり。。。
特に私は飯島直子と杉田かおるの40女同士の遠慮ない会話がお気に入りです。
木山裕策の主題歌も切なくて、何か泣ける。
とにかく、テンポ良い展開が飽きさせず、また恋がしたくなるような、そんな作品です。
昨年末にテレビで再編集されたものは、若干カットがあったり、BGMが変わって少し印象が違ってたのが私的には残念だったので、DVDでは最初のオリジナリティを残しつつ、パワーアップしたものを・・・と期待してるんですが、さて、どうなるのかな?
礼儀作法入門 (新潮文庫)
昔から「おばあちゃんの知恵袋」という言葉がある。
家事や冠婚葬祭などの昔から伝わるちょっとした工夫といった意味だと思うが、その伝でいくとこの本はいわば「親父の知恵袋」というべきだろう。
この本には、著者が書いているように煩瑣な礼儀作法などは書かれていない。その背後にある、場面場面における「心がけ」について書いたもので、これらを実際にやれたなら立派な紳士だろう。(但し、私が思うに20そこそこの若者にこれをびしっとやられたら周りからはいやみに見えるだろうが(笑))、
後、書かれている時代のせいもあるのだろうが、ファッションについての項はかなり古びてみえる。今の極端なまでも服飾の多様性をみると、著者はどう論評するだろうか?