八つ墓村 [DVD]
これは横溝正史の『八つ墓村』を素材とした、一種の“怪談”であると思います。『番町皿屋敷』とか『四谷怪談』を観るつもりで鑑賞するのが良いでしょう。
内容は首尾一貫して過去の因縁に基づく“祟り”の物語となっていて、正体の知れた犯人が鬼の形相に変化するあたり、まさしく日本の怪談噺そのものです。毒殺の場面も非常にリアルだし、現実の中に悪夢を甦らせる映像の魔術には舌を巻きます。全国各地をロケして「八つ墓村」がいかにも実際に存在する村であるかのように描き出した功績も大きいはずです。映画館の大スクリーンで観るともっともっと迫力があるでしょうし、劇場の薄闇の中なら恐怖感も一層増すでしょう。テレビで観るには惜しい作品です(特に鍾乳洞のシーンは、明るい部屋で見ると“何が映っているのか見えにくい”感が強くて恐怖も半減し、非常に残念でした)。
それから、渥美清の金田一さん。背広に麦藁帽という出で立ちで、叩き上げの刑事みたいに地道で粘り強い調査をし、決して大胆な推理をしないところが面白い。脇役に徹し、まるで八つ墓村観光案内役か事件解説者のような、淡々とした口調、仕事ぶりです。原作とはまるで違う金田一像なのに、“金田一さん”の飄々とした雰囲気が非常によく出ていて、なぜかとてもぴったりしていました。
この作品、ミステリーとしての謎解きを期待すると少々当てが外れます(八つ墓村の村人128人全員が殺される計算になる、という村の駐在さんの推理は面白かったです)が、舞台となる“村”そのものを味わうつもりで観ると、怪奇浪漫に浸れるでしょう。
鎧ふ屍山へ失せ 我鳥居にて叫び声
滑る洞穴金田一 奥を望むもつゆ見えず
(よろふしかばねやまへうせ われとりゐにてさけびごゑ
ぬめるほらあなきんだいち おくをのぞむもつゆみえず)
新いろは歌 No.12 平成8年12月7日詠
ショーケン
トラブルタレントの復帰を狙った暴露本だったらいやだなと思いつつ手に取り、夜の更けるのも忘れて読み終えた。
今はもう失われたあの粗雑で熱く乱暴ないびつな時代。それがよみがえってくる。
ドラマも映画も、不便でそれだけに人の手によって作られたぬくもりを内包していた時代に生きたアウトロー。その情熱がつたないように見せかけた文章から十分伝わってくる。
ショーケンと仕事をしたり共にいた人たちは彼に大いに傷つけられたり、理解の外にある言動に泣かされたりしたこともあったかもしれない。
前略おふくろ様とマカロニ刑事、そして傷だらけの天使がミックスした文章には一種の迫力がある。
漢字も読めないと言われた彼がこれほど映画にのめりこみ、本を読み、芝居に徹し続けたと知ってそれだけでも、読んだかいがあった。
孤独な魂と、人を恋うる魂が同居しているようで、この世を生きるのは生きづらい人なのだろう。
ショーケンは烈火なのかそれとも冷徹なのか、狂気なのか非凡なのか…。彼は面白い。
こんな人間が、今、いない。
日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~ (ワニブックスPLUS新書)
ショーケンに対して“チンピラ”というイメージが役柄から強かったのですが、企画・製作も考えて色々やってきたんですね。妙に映画に詳しいのに意外な印象を持ちました。沢田研二に彼の世界対するライバル意識、市川昆にたいする反発、嫌悪をストレートに出してます。
内田裕也は沢田研二派でしたが。
面白いのですが、雑談的なところで終わってしまったので残念。
もっと観が俯瞰できる構成・内容になっていればよかったんですが。
ちょっと中途半端な内容。
TAJOMARU 限定版 [DVD]
小栗旬を使えばいいというもんでもない。といった感想。
ストーリーや演出等々極めて普通の?出来。
小栗旬を使ってるからなんとかここまでの映画になったか・・・。
(小栗旬を誉めているわけではない)
因みにこれは重要な事だが、アクション映画ではないです。
人間ドラマ?的な映画です。
アクションもあまりないですしね。
まあ正確にはアクション映画なんだろうけど、実際はそうではない。
普通にアクションアクションした映画を期待したんだけどな・・・。
話も別に対した話ではない。
極端ではなく、人によっては観た事を後悔する。
男唄~昭和讃歩
二人の特長が足し算を超えて掛け算になるのが理想であるのはいうまでもありません。
残念ながら、甘く見ても、そのような効果が出たのは「ぐでんぐでん」1曲だけのように感じました。
だからといって、これが買う価値のないものかといえばそうではないと思います。
「女の物書きで頭が良いのは富岡多惠子だけだ。」と言ったのはつかこうへいだったように記憶しています。
その富岡には単純な懐古趣味に堕した懐メロ批判の一文もありますが、憂歌団の「石狩挽歌」には遠く及ばないものの、このアルバムでも全ての曲に多少なりとも「現在」の視点が反映されています。
定価で買ってしまうと、今イチという感は否めないでしょうが、ネットオークション等で2千円未満で購入するのは難しくないと思われ、そうすれば、この二人に関心のある人にとっては十分満足のできるお買い物となるでしょう。