まんが 落語ものがたり事典
落語の登場人物は、いつだって、たいてい、愛すべき人々だ。
勝川マンガの登場人物も、いつだってのんきで、愛すべき人々ばかりなのだ。ここに勝川氏が、落語マンガを描く必然性がある。同じ落語が、演者によってまったく違うはなしになることは、周知の事実だ。だからこのマンガは、柳家でも、古今亭でも、立川流でもない「勝川流「落語41席」になっている。なんて贅沢なんだろう。
こんな時代だからこそ、人間に必要なものは、ほんとうはなんだったのかってえことを、そっと思い起こさせてくれるのが、落語であり、勝川マンガなのだ。
落語「通」検定1級の、ちょっとうるさいオヤジが、おすすめする、絶好の落語入門書!ミミズの心臓、ノミのため息
宇宙人のいる教室 (フォア文庫)
周りとちょっと違う、周りにうまくとけ込めない、ということだけでいじめの対象になってしまう子供の世界。
大人の世界も同じかもしれない。
ちょっと変な転校生レオナとごく普通だけれど親友のいないテツヤが友情を育む過程がさわやかに描かれています。
いじめをテーマとした物語はいじめる側の陰湿さやいじめられる側の苦悩を延々と語りがちですが、この小説は
二人の少年の成長に力点がおかれ、読んでいてとても前向きな気分になります。いつしか二人を応援している
自分に気がつくはずです。
いくつかの謎がそのまま明かされないのも児童文学らしく余韻を残してまたいい感じです。
大人にも子供にもすすめられる名作です。
メトロ・ゴーラウンド (偕成社ワンダーランド)
夏休みの地下鉄フリーパス「メトロ・ゴーラウンド」を買って、蒸発した友達を探しに都心をさまよううちに、「境界線」という路線に迷い込む。そこは勤労・就学・購買の義務でしばられた人々の暮らす異世界「ヨクノポリス」だった。
夏休みの終わりまでに友達から宿題ノートを取り返してもとの世界へ帰るんだ、という目標のもと、スリリングな冒険が続きます。現代の子供らしいドライな主人公がなかなか小気味良いです。デフォルメされた漫画の挿絵もぴったり。
この作品で描かれる異世界はファンタジックなものではなく、近代社会を風刺したようなSF的な雰囲気を漂わせています。しかしながら一皮剥いて見ると世界樹があるところや、ラストも魔法的に解決するあたりがSFではなく、あくまでも坂東真砂!!子らしいファンタジーだと思います。
小学校3・4年から。