日本の原発技術が世界を変える(祥伝社新書225)
日本の原発と世界の原発ビジネスについて書かれた本です。
著者はかつて宇宙戦艦ヤマトの科学考証もやっていたSF作家であり、文章は非常に
読みやすく、近年の原発をめぐる状況が良くまとめてあります。
今回の福島原発事故は起こってはならない事故でしたが、この事故を予見される
記述は残念ながらありません。日本の原発技術についても世界一であるとの記載
があるだけです。日本の原発「製造」技術が世界一なのはまぎれも無い事実なの
でしょう。しかし、いったん事故が起こってしまうと、何もできないことを証明
してしまいました。日本には高濃度に放射能汚染された場所を確認する無人の
偵察機も作業ロボットも遠隔消防車も存在しません。(こういった場所では普通の
半導体は正常に動作しないため。)また、汚染の拡散をすぐに止める機材もあり
ません。こういった機材が開発されていない理由は「日本の原発は事故を起こす
ことは無いから。」という神話があったからです。しかし過去の事例も見ても、
小さな事故は多発しており、今回の地震が無くても、いつかはこういった事故が
起こる運命にあったと思います。どこかで間違ったのです。
日本沈没というSFの傑作があります。もし、2010年にこの話が書かれていたら、
原発事故にも触れざるを得なかったでしょう。本来SFには社会に警告を与える
役割もあったはずで、折角のSF作家の本なんだから、こういった警告的な視点
が織り込まれていたら、もっと良い本になったはずなのに残念です。
原発が作り続けられるのには、それなりの理由があります。何故原発なのか?
の理由を理解するのに読む価値があると思います。
歴史から消された邪馬台国の謎 (プレイブックス・インテリジェンス)
倭人がもともと朝鮮半島に本拠を持ち、北九州はその橋頭堡にすぎなかったことが、第一次資料である魏志の記述から説得力をもって説かれている。卑弥呼のちょっと前の時代、倭人は日本人でも朝鮮人でもなかったのだ。卑弥呼の時代までには、本拠が日本列島に移っているという。そして、そろそろ結論がほしい邪馬台国論争だが、九州以外には考えられないという結論を導いている。手軽に読める新書だが、日本人のルーツについてしっかりとした読み応えを感じさせてくれた。この値段は安すぎる。