世話焼き長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)
時代小説家5人の人情話を集めた本なのだが、名前だけを見ると、池波正太郎のがいちばんよくて、と時代小説は好きだが幅広く読んでいるわけでないぼくはそんな先入観を持った。
そして、その先入観は外れた。
骨折り和助なんて、落語かと思った。
浮かれ節は藤沢周平かと思った。
小田原鰹は、人間失格みたいにダメ人間が主人公なのだが、そこは時代小説。最後まで悪人のままでは追われない。
この安心感が、醍醐味なのだ。
ただ、構成がうまいのは池波正太郎。