中陰の花 (文春文庫)
芥川賞第125回受賞作。
中陰の花はもちろんいい。
人は死んだらどうなんの?と聞く坊さんの妻。
なんともいえないほのぼのとした味わいとリアル感を醸し出しています。
すぐ傍にそんな女性たくさんいそうです。
誰もがそう生きてそう考えていそうな雰囲気が身近でいいです。
でも本当は、こんな紙縒りばかり作る手作業好きな女性は
今時少ないですよね。
物語の展開は最後には、
日常の中にひそむちょっとした異空間を垣間見せてくれます。
一緒に入ってる
「朝顔の音」怖くていやらしくて、大人な世界を見せてくれます。
これも日常の隣近所にいそうかなコンビニ的な世界です。
荒いストーリー描写ですが、想像を刺激するいい話です。
じっくりゆっくり書いたらこのテーマはもっといい小説になる気がした。
一般受けは、こちらの小説がするかも。
エロっぽさが特によかった。
まわりみち極楽論―人生の不安にこたえる (朝日文庫)
著者はお坊さんでありながら、物理学の知識など科学技術の側からも死後の世界を語ってくれたり、仏教のエッセンスを決して堅苦しいことなく、平易に解説してくれてます。
「幸せ」ではなく、「楽」を追求していくことの大切さ。
このことが一番新鮮でした。
気楽に、楽しくいきまっしょい。
現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))
レビューを見ると、たくさんの方が褒めておられます。「空(くう)」というものを著者が確実に捉えています。「空(くう)」の説明がしっかりしているのだと思います。
ただ、もっと明確でわかりやすく説明した本があります。「般若心経物語」という本です。この本の中では「色(しき)」と「空(くう)」の関係を「情報物理の原理」として、易しい中学、高校の数学を使って、たった12ページで明確に正確に実に解りやすく説明しています。
それだけでなく、「般若心経物語」には宮澤賢治や金子みすゞの詩、親鸞の「弥陀の誓願不思議」、「にあんちゃん」(両親を亡くした小学生の日記です。)などのことも載っていて、感動的です。
「色(しき)」と「空(くう)」の関係は、そもそも仏教だけのものでなく、宇宙の普遍的な原理です。ですから、老子や荘子といった人たちもこれを理解し思想を築きあげました。
般若心経については、岩波文庫の「般若心経・金剛般若経 (岩波文庫)」が、翻訳者の主観が入らないような配慮がされていて、自分で読み解くための素材が提供されています。著者の人生観の入ったものなど嫌だという人は、この本を読むのが一番いいでしょう。「現代語訳 般若心経 (ちくま新書 )」の著者、 玄侑 宗久氏も、この岩波の般若心経を種本にして、この本を書いています。そして氏の思想、人生観を入れいるわけです。 その思想なり人生観が人に感動を与えるなら、その本はおおいに価値のあるものといえましょう。レビューを見ると良かったという人も沢山いるので、それだけの価値があるのだと思います。