邦楽ニューウェーブ
「御座敷芸か生活苦の叫びの化石」と化していた日本音楽が、西洋音楽を子守唄に聴いて育った世代により遺伝子操作を受け、再起動し始めた感じの 世界に発信できる、生きた日本芸術の躍動開始を感ずるアルバムです。
これからの彼らの活躍に期待したい!。
海外への御土産にもお勧めです。
悪人(上) (朝日文庫)
上下巻の評価をここでするとすれば、面白い、いや、素直な人間模様が描かれた話だが、そこに人生を生きることの悲しさと切なさと苦しさが絡みついていて、読んでいる間中、じわじわと全身に染みわたってくる「生きることの重み」みたいなものがあった。
ただ殺人犯である青年が捕まるまでの話。一言でいえばそれだけ。
でもそこにどうやっても「生きていくこと」とか「人間関係」とか「誰かを想うということ」という現実世界にリンクしたものを感じずにはいられなかった。
ただのフィクションとしては読めない切羽詰まったものがあって、どこの部分をとっても救われないと感じた。
暗い。でも、強烈に惹きつけられた作品で、後半は涙が出た。
犯人に同情したわけでもないし、一緒に逃亡した女に共感したわけでもない。
ただ、そこに関係する多くの人の人生一つ一つにたいして涙が出てきた。
映画でどう表現されていくのかはわからないが、映画になった代表作という観点からでなく、ただの数ある小説の中の一つとしておススメ。
パレード (初回限定生産) [DVD]
パレード=隊列。裏で何をしようと自由だが列だけは乱すな、たとえそれが殺人でもかまわないから…
結論から言うと、原作未読で鑑賞しましたが、映画化して面白くなる類いの作品ではなかったな、という感じです。おそらく原作が持つ空気感は映像化に適していないのでしょう。
皆さん軒並み高評価ですが、それは本作のキモが当初誰もが予想する、連続殺人犯はだれかというよくある謎解きではなかった事が大きいからではないでしょうか。
現代の若者が持つ得体の知れない空恐ろしさ、それらを描いた作品は近年多く、そこだけに焦点を絞れば本作が飛び抜けて秀作ではないのは明らかでしょう。
ただ上記したように、謎解きだと思い観ていた作品がそうではなかった事のギャップ、それが本作を本来の出来よりワンランク上の評価にさせている要因だと私は考えます。
あとキャストに関してですが、藤原竜也さんは舞台役者としてはそれこそ何十年に一人の逸材だと思います。しかし彼の映画出演作を見る限り、どれも芝居が大仰でリアリティに欠けます。DEATH NOTEのような漫画元ならともかく、本作に於いては上手い下手とは別に一人浮いて感じてしまいます。
舞台と映画の演じ分け、これが彼の今後の課題だと個人的には思います。
繰り返しになり恐縮ですが、悪くはないけども映像化して魅力が出る作品ではなかった、そんな印象です。実質星3.5、繰り上げの4です。
静かな爆弾 (中公文庫)
耳の不自由な彼女と付き合ってるのではなくて、付き合っている彼女の耳が不自由なんだという男のお話。しかし、よくある、ハンデのある女との恋愛話では決してない。
耳が聞こえないといっても種類があってその程度は様々であるのに彼女がどういう立場なのか説明が続くわけでもなく、彼女の人物像は終始見えてこない。
それはこれが男のお話だからである。男が尋ねなければ女が答えることはない=読者は知ることができない。
とっても身勝手な男のお話である。
乾いた静かな物語の中にいくつも心に響く言葉がある。さすが吉田修一。物足りなさは再読で補えばいい。再読するたび出会える言葉があると思う。
吉田作品の初見にこの作品は絶対おすすめできないが、何作か読んだことのある方にはこの作品も是非知ってほしい。
全日本吹奏楽コンクール2009 Vol.6<高等学校編I>
実際コンクールに行ってこのCDに収録されている団体を聞いていましたが、どこも内容が濃く近年の吹奏楽コンクールのレベルがまた上がっていると思いました。
特に朝一番の市立柏は銅賞を取ってしまいましたが、金賞に勝る名演だと思いました。演奏終了後の観客からの反応がそれを物語っていると思います。
また、各団体の賞発表の時唯一会場から「えっ?」「なんで?」という反応が出たことが市立柏の演奏内容の高さを物語っていると思います。
天理高校は強弱のつけ方がかつての野庭高校に似ていて、聞いていて心地よいダフニスでした。
精華女子は昨年からの勢いで駆け巡るような「華麗なる舞曲」でした。名演の洛南高校に対して、勢いはありつつもしなやかな内容でした。
光が丘女子は、重厚な木管郡が魅力的で色彩も豊かでした。
初出場のコザ高校は、若干のミスはありつつも貫禄のある演奏でした。個人的には銀賞でもいいのにと思いました。
埼玉栄は相変わらずのクオリティで歌心が満載でした。銀賞に終わりましたが、ディズニー音楽というコンクール曲の選択肢を増やした功績は評価すべきだと思いました。
中々値段が高く購入しにくいのですが、このCDは勝手損はない内容ですので是非お勧めします。