蔵出しうめぼしの謎 完全版 (ダイトコミックス)
恐らくは、これを読んだ当時の年齢で評価が増している作品だと思う。
ギャグ王といえばいかにもベタで子供向けな作品ばかりの月刊誌で、
その中に一つだけ浮いていたマンガがこの「うめぼしの謎」だった。
欄外の落書きやキャラクターの言動に見て取れる皮肉っぽさは、
あの頃小学生だった僕らにはとても眩しく高尚なものに映ったものだ。
だから、今この作品を評価するならば、単純な笑いで満足していた子供たちに、
それ以外の楽しみ方、視点のあり方を教えてくれたという一点にあると思う。
実際、今見てみれば穴も多い作品で、作者の年齢にふさわしい若々しさも感じられる。
独創的な面もある。他の漫画家にはなかなか出来ないだろうというようなものも。
それでもやはり、この作品は、僕らの価値観を広げたという点において一番評価すべきもので、
だから、今更同年代の連中に勧めるべきものではないということを言っておきたい。
順調に年を重ねているのであれば、それ相応の次の作品に出会えているだろうから、
この本はあの頃の思い出の一冊として残したいと思う。
僕にとっては、マサルさんや、その後に読むことになった伝染るんですと同じくらいに意味を持つ漫画。
だからこの点数です。