戦火のバグダッド動物園を救え―知恵と勇気の復興物語
以前、朝日新聞に戦時下のアフガニスタンの動物園で、手榴弾の破片で盲目になりながらも生き延びているライオンがいると報道されたことがある。そのライオンがどうなったか気になっていたが、結局助からなかったと聞いてとても残念に思った。著書のローレンスさんもこのライオンを別のメディアで目にし(同じライオンだったかどうかはハッキリしないが)、このような悲劇は繰り返してはならないと決意したという。
そのため彼はフセインの銅像が倒された直後のバグダッドに手弁当でのりこみ、わずかに生き残った動物たちを救おうと奮闘する。劣悪な衛生状態と飢えに苦しむ動物たちに与える水を汲むバケツすらなく、やっと手に入れた道具はすぐに盗まれてしまう日々。餌の調達、スタッフの安全、足りない資金。問題は山積している上に、フセイン一族の所有していた猿やライオン、私立動物園で虐待されているクマやラクダの保護までが著者の肩にかかってくる。それを一つ一つ、失敗はしながらも、冷静に着実に解決していくところに、動物を愛する人の優しい心と粘り強さがあるように感じた。
「人間の愚かさの代償を命で支払うのは、いつもほかの生き物なのか?」という著者の言葉が心に重くのしかかった。現在著者は国際的な自然環境保護団体を設立し、自然環境に対する啓蒙活動を行っているという。現状を憂うだけでは何も変わらない。常に行動で示してゆく著者に拍手を送りたい。また、戦時下で自分と家族の命も危ういのに、動物の世話をづつけたイラク人の動物園職員達の勇気にも賛辞をおくりたい。
戦火の勇気 [DVD]
感動の大名作。ある事件がきっかけで、数人の若い兵士たちが心に深い傷を負います。
戦場の恐ろしさに身震いし、取り返しのつかぬ事をしてしまったその中の一人・・。事件が封印されてしまったために、許される事なく生きていた彼を、デンゼル・Wが事件のなぞを解き明かしてくれた事で、彼は、初めて逃げていた自分から救われるのです。
過ちは、一生背負っていかなければならない。しかし、償いをする事で自分が過ちを犯したことを受け入れ、その上で、生きていかなければ、人はとても生きてはいけません。
この映画には、いろいろ考えさせられたし、人生においてすごく勉強になったと思います。ぜひ、いろんな方に見てほしいです。
戦火の勇気 (新潮文庫)
この本は構成が面白かった。ひとつの話を語る人によってまったく違うように書いて、そこから真実を見出す主人公の現在をうまく絡めてあるのがすごくよかった。
湾岸戦争で戦死したカレン・ウォールデン大尉が勲章を受ける候補に上がったため、主人公であるがオブザーバー的な役割をするサーリング中尉は調査を開始する。救護ヘリヒューイのパイロットだったウォールデン大尉は、撃墜されたヘリブラックホークの救助に向かう。だがヒューイも撃墜され、一夜明けて味方が救護にきた時にウォールデン大尉は死亡したとの報告がありナパーム弾が投下された。
これをブラックホークの生き残りの兵士達の話、ヒューイのクルーの話、ウォールデン大尉の上官の話、それにやはりヒューイに同乗した大尉の部下の話が続く。
そして真実を探りながら、サーリング中尉はかつて戦闘で味方を誤射したという自分自身の傷とも向かい合い、乗り越えていく。戦争という極限の状態で見せられるドラマは、人間の弱さを露呈すると共に英雄を生み出す。境目はほんの一瞬の決断と運でしかない。