プルトニウムの恐怖 (岩波新書 黄版 173)
CO2削減のために原子力発電を積極的に利用するべき、といった意見をよく目にします。CO2による地球温暖化説の真偽や、原子力発電がCO2削減に役立つのかどうか、等も検討を要することですが、まず「原子力発電」というものがどのようなものなのか、これまでの歴史を含めて知ることが重要だと思います。
何冊かこれまでに原子力発電に関して書かれた本を読みましたが、私が読んだ中では、この「プルトニウムの恐怖」が一番よくまとめられていて、良い本だと思います。技術的なこともわかりやすく説明されており、核燃料サイクルのことや、ウラン濃縮工場の現場の労働者の被曝の話などもあり、30年近くも前の本ですが、今話題の高速増殖炉「もんじゅ」についても詳しく、わかりやすい説明があります。
チェルノブイリの森―事故後20年の自然誌
放射能を浴びた森の中でいったい何が起こっているのか?それを、勇敢にも取材したのがこの本だ。放射能を浴びた生物の代表といえば、ゴジラ。ひょっとすると立ち入り禁止区域に指定されたのこの森には、ゴジラのように異常な成長と変態を遂げた巨大生物がうようよしているのだろうか?あるいは突然変異を遂げたばかでかいキノコや羊歯が生い茂り、古代の地球を彷彿とさせるような風景が展開されているのだろうか?
答えは読んでのお楽しみだが、そこでは少なくとも、人間の予測を超えた信じられない出来事が進行しつつある。それを自然の力と見るか、人間の罪と見るかは意見の分かれるところだろうが、チェルノブイリの森がある意味で「壮大な実験場」であることは間違いないだろう。