食肉の帝王 (講談社プラスアルファ文庫)
実に詳細で正確な調査に基づいたフィクションである。
不浄のものとされた江戸期までとは違い、今では誰もが口にする食肉であるが、その奥にこれほどまでの闇があるということはこれまでほとんど知られていなかった事だと思う。
BSE問題がきっかけとなり、ようやくその一端が明らかになってきた。
本書はそのBSE問題以前に出版されており、著者と出版社の慧眼と勇気に感服する。
同和と暴力をたくみに使い巨富を得た男、浅田満。
ライブドアの堀江貴文は闇社会の使い走りだったといわれているが、浅田満はその闇社会をもコントロールしている男である。
彼の前にひれ伏す市長、知事、国会議員など数多くの政治家達、、、
浅田満は間違いなく今の日本を支配している一人である。
そして彼の力の源泉は歪んだ行政と闇の世界から生じた巨富と暴力である。
これが今の日本の現実なのである。
好著の多い溝口敦の中でも抜群の好著とだと思う。
中日ドラゴンズ論 (ベスト新書)
ドラゴンズファンです。
この本は、ドラゴンズの伝統的な強さという視点で書かれている。
星野監督と落合監督のことがかなり書かれているが、
星野と落合では監督として全く性格が違うし、指導法も異なっているにもかかわらず、
中日の伝統ということを言いたいがために、話が無理やりになっている点が多少ある。
落合が監督になって、星野色を一掃した事に関しては全く述べられておらず、
私には少々物足りない部分もあった。
また高木監督、山田監督についても述べられている。
高木監督については、例の巨人との10・8決戦のことや
今中の全盛時代のことでもあり、興味深く読めた。
自身がなぜ引退したかについては、真相は言うつもりはないとのこと、
やはり、「悔いはある」ようなニュアンス。
投げすぎで肩を壊したのではないと書いてあるが、
今中は練習嫌いだったから、投げすぎて肩を壊したとは少なくとも私は思ってなかったが・・・
また大阪桐蔭高校の後輩である平田については、彼がなぜ伸び悩んでいるかについて書かれていて
これもなかなか今中ならではの視点でみていて面白かった。
最後に今中と川相元二軍監督、中村コーチとの対談が載っており、
これもとても深く語られている。
中村は横浜にいたので、横浜がなぜ弱いかについて述べており、
結構きついことを言っている。横浜はどうなってしまうのだろう。
山本昌、足木敏郎、テリー伊藤など最近続々とドラゴンズの本が出版されているが、
どれもとても面白い。
私はドラゴンズファンだが、他チームのファンが読んでも得られるものは多いと思う。
たしかなこと
この曲は上記ふたつのタイアップがあった曲です。明治安田生命の前身明治生命時代に小田和正さんの『言葉にできない』がCMタイアップとして使われていたため、明治安田生命となって新たなCMを作るさいに楽曲依頼がきたため、作成された曲です。この曲は小田和正さんのインタビュー本『たしかなこと』によると『言葉に出来ない』を意識して作ったと仰っていました。強い意志がある名曲だと思います。
iStudy NX for 星野仙一式 リーダーシップ (リーダーとは夢へのナビゲーター)
阪神タイガース・テクニカルディレクターの星野仙一氏が展開するリーダーシップ論を、パソコン上で体感できる自習教材。
Part 1では、星野氏自らが画面を通じてリーダーシップについて語りかける。リーダーには理論、情、存在感、覚悟の4条件が必要である、と低迷していた猛虎軍を立て直した熱血漢が、自論を展開する。
Part 2は、10の事例に対して二者択一で選んだ答えに対して、星野氏が考えを話してくれる、という形式になっている。こちらは、「上司と性格が合わない。どう接すればいい?」「リーダーシップのある同期。自分は出世できない?」など、リーダーシップよりもむしろ、フォロワーシップについての内容になっているが、ある意味、仕事上の悩みに星野氏が擬似アドバイザーとして、答えてくれるので、「理想の上司」の一面を垣間見ている感覚が得られる。
通しで1時間ほどで終わるので、手軽に星野式リーダーシップを感じ取ることができる。あくまで「星野式」なので、人によっては納得しかねる部分もあるかもしれないが、現実に結果を出した男の話は、じっくり聴く価値はある。
プロ野球 戦力補強の通信簿 2000-2010
00年代のプロ野球界を球団別に振り返っている。
所々、誤植はあるもののプロ野球ファンには興味深い一冊。
最も印象に残ったのはオリックスの激動の10年だ。
イチロー退団から、契約金ゼロ制度、球団合併、監督の死、清原引退、
そして着々と進行する大阪移転計画。
人間の記憶は曖昧なもので、
実際の記録と自分の思い込んでいた記録が違う箇所も多く勉強になった。
プロ野球に少しでも興味のある人なら、値段以上の価値はある一冊だ。