バッハ:マタイ受難曲(全曲)
この「マタイ受難曲」はバッハの、と言うより、数あるキリスト教音楽のなかでも1・2を争う最高傑作。当然録音も数多くあり、それぞれに特徴ある演奏を行っている。このCDは古楽界の重鎮レオンハルトの指揮でクイケン3兄弟をソリストに据えたラ・プティット・バンドを率いる、ドイツ・ハルモニア・ムンディならではの協演。合唱はボーイソプラノとアルトまで含めて全て男声で、初演当時の姿を再現したとして有名な録音である。
演奏は全体を通してかなり重厚な響きになっている。テンポもかなり遅めなのだが、オーケストラが少ない人数でどうやってこれほど重厚な音を出しているのか不思議なくらいだ。さらに、現代の楽器で演奏したような音の華々しさはないものの、表現の豊かさは劣らない。普段古楽を聞きなれない人は全曲通して聴くと疲れてしまうかもしれないが、魅力を知れば知るほど、楽しめるようになる。