Solid State Warrior
もはや助っ人業やサイドプロジェクトばかりの人になってしまったかと思われた元ジェリーフィッシュの天才職人、ロジャー・J・マニング Jr.の初ソロアルバムです。Weedshare.comなる音楽ダウンロード・サイトで既に配信されていたものですが、やはりファンはジャケット、歌詞カード付きで揃えたいもの。元々引き出しも豊富で一つのジャンルでは括れないミュージシャンでしたが、強いて言えば彼にインペリアル・ドラッグではなくジェリーフィッシュを求めた方には必携です。本編ラストではかの盟友を想い涙腺が緩みます。4枚組みCDだけでクラゲの夢は終わらない。
ロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラック
ケーブルTVでケヴィンシールズの「City Girl」のPVを見た時から結構気になってて、だけどなかなか買うきっかけも無くて、そんな訳で先日こちらで注文させて頂いてようやくちゃんと音を聴く事が出来ました。
難しい事はともかく、ぼくはサントラってゆうのはなんとなく微妙な感じに思えたりするのですがこれは良かったです。
映画自体観た事が無いけど、曲の流れも良いと思うしアーティストはばらばらだけど一枚のアルバムとして聴ける様な気がします。
それと、個人的な事でいえばデスインヴェガスの曲を気になりつつもまだ聴いた事が無かったのですが、これに入っている「Girls」を聴いてアルバムも聴いてみようかなって思いました。
キャットニップ・ダイナマイト
ジェリーフィッシュがあっという間にシーンを席捲して解散したあと、取り残されたファンはずっと彷徨わずにはいられなかった。当然、主要メンバーだったロジャーのその後の活動はジェリーフィッシュの音楽性との距離感からは離れられない宿命を背負った。才人ロジャーとしては、だからこそ単なるジェリーフィッシュのコピーは作りたくなかったに違いない。
ムーグ・クックブックやインペリアル・ドラッグ、マリブなどでの活動、ベックらとのコラボ、それらを経て製作した前作「ソリッド・ステイト・ウォリアー」は、それらの集大成的なものといえるだろうが、個人的な感覚だと、まだ「実験性」「批評性」「ヒネリ」のほうが「大衆性」「扇動性」「分かりやすさ」に勝っていたと思う。それが遂に本作で、まさにジェリーフィッシュばりに絶妙なブレンドで提示されている。
出だしのギターサウンドは、インペリアル・ドラッグを通過してきたグラムへのオマージュ、続く2曲目はメロウだがポップ、適度にヒネリの効いた歌詞のクールさに脱帽。3曲目はクラヴィネットでのブギのリズムが何故かELOあたりを思い起こさせ、思わず腰が動くキャッチーさ!5曲目ではビートルズを意識したかのようなビート感覚がかっこ良い。6曲あたりは、フレディや最近だとMIKAあたりに通じるエキゾチックなポップさが光る。8曲目など、イントロの無機質なシンセにハードなギターが重なる瞬間にはザ・フーを感じさせる。9曲目はハープシコードが美しい静謐なバラード。10曲目は最もジェリーフィッシュに近いと感じさせるポップさとハードさが絶妙に混ざり合った名曲。11曲目はリラックスした感覚のポップス。ボートラは欧州っぽい感覚で聞かせる。
とにかく、これを待っていた、という感想です。まるっきりジェリーフィッシュでもなく、しかし必要以上にヒネリすぎていない。これって、簡単なようで本当に難しいはず。これをものにしたロジャーの才能と努力に星5つ!