パプリカ [DVD]
原作からのレビューになってしまうが、映像的にはちゃんと筒井だった。原作の夢と現実がが混沌として入り混じる描写を見事に映像化できている。映像はほぼ百点に近いといっても良い出来。
ただストーリーは少し散漫かなあという印象である。原作を知っているからついていけたものの、知らない人は「えっ、ちょっと待って」と言いそうになるであろう速い展開で、無理矢理時間内に収めたような雰囲気になっている。少し説明臭い演出もあって、もう少し遠まわしに伝えればいいのにという箇所もあった。
だが、ここまで忠実に映像化できたのは今敏監督の見事な手腕であると言うしかない。他の筒井作品であれば、更なる荒唐無稽の極致である、「脱走と追跡のサンバ」を是非映画化して欲しいと思う。
ユリイカ2008年12月臨時増刊号 総特集=初音ミク ネットに舞い降りた天使
本書は初音ミク(とボーカロイド)を軸に、ありとあらゆる考察(音楽・SF・著作権・キャラクター論・・・)をまとめた本です。数枚のイラスト以外は全て活字なので、つい勢いで買ってしまうと、あまりの文章の量に圧倒されます。
それでも初音ミクを中心に、これだけ多方面に語れる事ができるという事に驚き、「ついにここまで来たんだ」という感動すら覚えました。中には批判的なものも無くはないのですが、それすら普通のファンブックにはない新鮮さを感じました。
ミク関連のブログでは物足りなかった人はもちろん、勢いで買ってしまった人(笑)も読んでみる価値がある内容です。固い内容が苦手な方は、とりあえず一番後ろから拾い読みをしてみるのも良いかも。
映像のための音楽~平沢進サウンドトラックの世界
ゆったりした曲から迫力のある曲まで幅広く収録されています。
「ベルセルク」など人気ゲームで使用された曲や「千年女優」などアニメ作品で使用された
曲など、メロディーもキャッチーなので非常に聴き易かったです。
男性の高い声が苦手な人でもあまり抵抗無く聴けると思います。
INTERACTIVE LIVE SHOW 2000 賢者のプロペラ version1.4 [DVD]
最も革新的なミュージシャンこと、平沢進氏のインタラクティブ・ライブが体験出来る有難いDVDです。
ミュージシャンは勿論の事、全アーティストが見るべきだと思います。日本人でこれほど力強く、表現力豊な方を私は知りませんでした。
白虎野
待望の平沢進・10枚目のソロアルバム。
約2年の月日を経て、前作「BLUE LIMBO」を上回る秀作が発表された。
1曲目・『時間の西方』は宗教曲の様な合唱から始まり、独特の平沢氏の声が重なって行く。
全曲、歌詞が素晴らしい。
スピリチュアルにして壮大、荘厳。
そしてソロ作品に通ずる、美しいメロディーコード。
スケールの大きな作品群だ。
名盤「SIM SITY」から連なる、”来なかった近未来”と言う雰囲気が
全体を包み込む。
存在しない過去、来る事の無い未来。
儚いペーソスすらも感じさせられるこの一枚は、平沢ファンならば是非、購入すべきだ。