偽善エネルギー (幻冬舎新書)
タイトルがなんとなく気になって読んでみた。
著者は、工学博士であり、「内閣府原子力委員会および安全委員会専門委員」などを務めている人で、ホームページも開いている。
ホームページで連日「福島原発」について著者が語っているので、興味がある方はそちらを参照されることをおすすめしたい。
学者が書いた本だが、私のように科学的な専門知識を持ち合わせていない人間が読んでも、理解しやすい平易な言葉で説明されていて読みやすかった。
各節の終わりに「まとめ」風に、太字で大切な事が箇条書きにされていたり、図で説明されているので、わかりやすい。
構成は
第1章「エネルギーの現状を把握する」
石油はいつまでもつか・原子力は安全か・太陽は石油の代わりになり得るか・水力、バイオ、自然エネルギーは有望かetc
第2章「食料と温暖化問題を考える」
第3章「日本のエネルギー問題」
石油の代わりはどこにあるのか・原子力発電に頼っていいのかetc
第4章「エネルギーの未来と私たちの生活」
著者によれば、本書の特徴は「利権とは関係なく書かれている」「科学としての事実が書かれている」そうだ。
確かに石油の枯渇問題等は、経済的な側面、産油国の利益面など多角的に捉えていて理解しやすかった。
また現在問題になっている原発の安全性と危険性についても、述べられている。
特に技術的には「軽水炉はまったく安全」というのは確かだが、その一方で「軽水炉の危険性は耐震性の問題と人災にある」と書かれており、柏崎刈羽原発事故の場合は「残余のリスク」であり、国や自治体・専門家達が住民達に「事実を伝えていない危険」「秘密主義」とも書かれていた。
また、チェルノブイリやスリー・マイル事故が起きた原因と、日本の原発との違いなども書かれていたので、読んで良かったとは思う。
その他「私にもできることを探してはいけない」という一節で、「エコバッグ」「節電に努める」キャンペーン等や「リサイクル」「に対して、疑問を呈していて、一つの考え方としては興味を抱いたが、100%納得できなかった。
偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)
一般に「地球に優しい」といわれる21項目のエコ生活について考える。
「レジ袋を使わない」−ー>判定「ただのエゴ」等明確な評価を下してから
詳細な説明をしていく形式であり非常にわかり易い。
21項目のうち「アルミ缶のリサイクル」は環境によいが、それ以外は全く意味がないか
現時点では評価不明とのこと。
内容的には、「うそまか1」や「うそまか2」とかぶるところもあるが、理論的には
よく整理されており、最初に読むならむしろこちらがお薦めできると思う。