フィルム・ミュージック
映画『タイタニック』にも出演したイ・サロニスティが、格調高い映画音楽の調べを披露してくれます。『カサブランカ』の『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』や、『ティファニーで朝食を』の『ムーン・リバー』には、もううっとり。知らず知らずのうちに銀幕の主人公になったような気分を味わえます。最後に収録された『タイタニック・メドレー』も嬉しいサービス。いろんなところで聴く機会の多い曲ですが、演奏者が変わるとこうも違って聞こえるのかと驚かされるばかり。まさに名曲の珠玉集です!
知性と感性 [DVD]
この作品は、1995年の邦題タイトル「いつか晴れた日に」(エマ・トンプソン版)の前に位置する1981年BBC版の「Sense and Sensibility」である。
その比較で書くと、まず、三人姉妹が二人姉妹として描かれ、二人の恋愛に焦点を当てて描かれている。こちらのマリアンヌは、バレエをやっているのか身のこなしにそれらしい品がある。また、兄夫婦は、こちらの配役が良く、見栄っ張りで気の弱い兄が妻の意向に振り回されて、何も援助できない様が良くでているし、エドワードの秘密婚約が発覚したときの取り乱し様も、こちらの方がその時代の女性にふさわしく見事で、一見の価値がある。
男優陣は、概してエマ・トンプソン版が良いが、ウィロビーばかりは、こちらに軍配が上がる。エドワードは堅物の感が強く、ヒュー・グラントと比較しては気の毒だが、ブランドン大佐は、一方のアラン・リックマンと比較するには、かなりタイプが違って演じられているように思う。アラン版のブランドンは、馬で行動し、穏やかなのだが、内実にかなりの情熱を秘めた人間として演じられているが、こちらのブランドン大佐は、年齢をかなり意識して、とにかく穏やかに穏やかに行動する辛抱強いタイプとして演じられている。エドワードの弟、ロバートもこちらの方が、見栄っ張りでルーシーと合うのがよく分かる。
それぞれに原作の良さをどのように抽出したか、その脚色ぶりは、オースティンを好きな人には興味のあるところだろう。ラストは、こちらの方が原作に沿っていて、地味な終わり方だが、しっとりとした優しさのある仕上がりである。
いつか晴れた日に [DVD]
原作は人生哲学とか感情と理性というような問題を扱って教訓めいていますが、この映画は純粋な恋愛映画として楽しめます。美しい映像、豪華なセット、素敵な音楽、演技の上手い俳優陣を見て、殺伐とした日常を離れただ昔の異国の雰囲気に浸ることができていいと思います。
特に、最後のエリノアとエドワードの告白シーンが感動的。
ただ、エリノア役のエマ・トンプソンが当時もう40代だったと何かに書いてあり、美女は若く見えるけれども、言われて見ると本当にそんな感じ。それでも彼女は魅力的なのですが、自分ももう40代なので、所々に見えるエリノアの老いの陰に敏感になり、見ていてはらはらしてしまいます。マリアンは安心してみていられます。19歳だったんですか。輝いてますね。
オースティンが映像化されたなかで一番好きな作品です。ほかの映画化作品と比べて、はっきりと、いいです。この監督の作品をもっと見てみたいと思いました。
原作とは違うところもずいぶんありますが(終盤、マリアンは確か散歩で靴下がぬれたのに替えなかったため風邪を引いたのであり、誰かに助けられたりはしていない)、現代的な感覚からはやむを得ないでしょう。
COZY
いつも食べられるわけじゃないけど、たまに食べるからおいしい。そんな印象を受ける山下達郎。透き通った声、絶妙のアレンジ、ラジカセでもキレイになるように調整された音質。それがどれも一級品としての条件を軽々と満たしている。
素晴らしい職人芸にひたれること間違いなし。でも乱用は危険です。
いつか晴れた日に―分別と多感
何と言っても、最後のどんでん返しにはびっくり!多少の期待と予想はあったものの、まさか!本当に!という感じ。そのどんでん返しがまた、予測のつかない顛末。それによって八方丸く収まり、皆が幸せになるのだけれど、ただただ驚き、唖然とする。
『自負と偏見』同様、さすがオースティンと思わせる詳細な人物描写だが、特にエリナとマリアンの姉妹の性格の対比は見事。物語はめでたし、めでたしで良かったが、少々都合が良すぎるのでは?という感じもなきにしもあらずというところ。