暗殺の森 完全版【字幕版】 [VHS]
G.ドルリューの、映像を超えず、映像に劣らずの寄りそった音楽。主役はJ=L.トランティニアン。絶頂期の作品だ。吹き替えのように聞こえるが、列車内でのラヴ・シーンなどは、トラウマなどの諸々の要素があいまって、かつトランティニアン独特の静かにも激しさを備えたものだ。彼の視線の先に映っているもの。あの知的な目がまたいい。忌まわしい過去に悩まされながらも、暗殺の使命を担って何か新しい世界へたどり着こうとする複雑な役。競演はS.サンドレッリにD.サンダ。このサンダ。撮影当時はまだ10代のはずだが、なんと言う官能美だろうか。あの緑色の瞳。そしてファッションの着こなしの素晴らしさ。
暗殺者の森 (100周年書き下ろし)
本当に心待ちにしていた一冊。逢坂さんはもう北都のこともヴァジニアのこともわすれてしまったのかな、と不安になったこともありましたが、ようやく、です。
「七月二十日事件」〜「ヴァルキューレ作戦」発動のあたりが今回の話の中心です。と、偉そうに書いても第二次大戦の欧州の動向について全く無知で、初めて知った内容でしたが。
ただこのイベリアシリーズを北都とヴァジニアのラブストーリーとして読んでいる私にとっては、ふたりの全く関与しない事件の記述が本書の大部分を占めており、教科書を読むような(退屈な)時間ではありましたが、舞台がベルリンと言うこともあり、特に後半にかけて、単なる脇役と思っていた尾形が大活躍をしてくれました。
胸を熱くさせるような前作のラストシーンから、本書では多少なりともふたりの関係が深まるのを期待していたのですが、さずがヴァジニア、あそこまでの目にあっても、決して負け犬にはなりませんでした。不屈です。ジェームズ・キャメロン映画のヒロインにもひけを取りません。今や彼女の「敵」は英国内部にあり、その敵を暴き出すべく戦うのです。
でもそのヴァジニアにして、どんな逼迫した状況であろうともナオミには張り合ってしまう可愛らしさ。
本当に強くて本当に可愛らしいヴァジニアが、変わらず本書にもいました。
個人的に猛反省しているのが、前作を読んだあと堪えきれずに、実在する主要な登場人物の「その後」を、軽率にもネットで調べてしまったことでした。無知なまま知らずにいれば、ふたりと一緒になって、歴史の展開に立ち会うことができたものを。「よく知らない」という方には、ぜひそのままで、本書の展開の中で知っていくことをお薦めします。
そして本作も、最後の最後に、息が止まり、知らずに涙が流れてしまいました。
こんな狂おしい気持ちで、次作を何年待たなければならないのでしょう。
でも、ドイツ、日本の敗戦まであとわずが。完結してしまうのも悲しい。
「百舌」の新作と併せて、じっと静かに待ちたいと思います。
暗殺の森 完全版【ワイド版】 [DVD]
モラヴィア×ベルトルッチという20世紀のイタリアを代表する作家と映画監督の夢のようなコラボレーション。
アルベルト・モラヴィアの作品は『倦怠』『深層生活』『金曜日の別荘』など様々な監督が映画化していますが、性を磁場にした退廃性のせいかポルノグラフィー的な解釈をされたものも多く、唯一原作の品格を損なわずに最高の状態で映画化されたと思うのがこの『暗殺の森』です。
流麗なカメラワークにドラマチックでありながら行き過ぎない演出、素晴らしいセットと衣装、そしてフランスを代表する映画音楽家ジョルジュ・ドルリューによるオリジナルスコア・・・一切が手抜きなく、ヨーロッパらしい映像芸術の醍醐味を感じさせてくれます。
好対照な魅力で光を放つドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリという華やかな女優陣に対し、内省的でインテリジェントなイメージのジャン・ルイ・トラティニアンという配役もいいですね。性倒錯者の役でちらっと顔を出すフランスの個性派俳優ピエール・クレマンティ(『昼顔』『豚小屋』etc.)も素敵!
有名なタンゴのシーンの他どこをとってもフォトジェニックで、古いモード雑誌でも眺めるようなお洒落さも感じます。
ファシスト政権に弾圧を受けた作家が書いたイタリアの現代史ともダブるストーリーですが、たとえ政治色の強いストーリーに共感できなくとも、映像だけでも十分に楽しめるところは監督の優れた手腕じゃないでしょうか。
ベルトルッチは『ラストエンペラー』あたりから個性に乏しくグローバル化し、残念ながら私にはもはや興味のない監督になってしまいましたが、'70年代頃の様式的で耽美で感傷的な作品の数々は彼らしくて大好きです。感情表現の激しさと豊かさはラテンの気質ならでは。ファッションやデコレーションに対する美意識の高さもイタリア人らしいと思います。
黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)
この事件が実際に起こり報道されたとき、「なぜそんなことが起こり得たのか?」ととても疑問に感じていました。この本を読んで、背後関係などはわかったけれども、それでもやはり、疑問が完全には解けません。
しかし、巻末解説のサイコパスへの言及を読んで、少しわかった気がします。「生涯を通じて他人を魅惑し、操り、情け容赦なくわが道だけを行き……」まさに主犯の吉田純子そのものです。
サイコパスまでは行かなくても、非常に自己中心的で強い人格というのはときどきあります。そして時として人は、そうした人格に魅力を感じる。途中でうんざりして離れることが多いにしても……。なぜなんだろう? 太古の昔、強いリーダーに導かれて延命を図ってきたという遺伝子が、そうさせるのか?
家庭教師ヒットマンREBORN! Let's暗殺!? 狙われた10代目!
REBORN!のアドベンチャーゲームというのに驚き。
予約特典も前回発売した『家庭教師ヒットマンREBORN!ドリームハイパーバトル!死ぬ気の炎と黒き記憶』より豪華なので、とても嬉しいです!
ゲームだけのオリジナルイベントや、友好度システム、変装したキャラの技が習得できる等、とても楽しそうな内容なので期待しても良いかと思います。
ただ、ダミージャケット型チラシや広告を見る限り、ドリームハイパーバトルの絵を使い廻しするような感じなので、ちょっと残念。