地震と防災 糸魚川-静岡構造線
今まで手元にあった地震・火山関係の本十数冊は、すべてかなり以前に買った物だ。私自身が生まれ育ったところには大きな地震が多く、その故郷を出てくるまでに震度6を2回(その頃は震度5,6に強弱の区別がなかった)、震度5は数回経験していたからで、自然と興味が出て買い集めた結果だった。また、こちらに来てからは、大地震の発生確率が高い地域だと言うこともあり、それで買った本も数冊ある。しかしこの本は違う。東日本大震災を受けて、これから起きるであろういろいろな地震について学ぶために買った初めの1冊だ。
なぜこの本にしたか。それは、2011年2月18日現在で、糸魚川-静岡構造線断層帯に大きな地震が来る確率が、30年以内に14%という大きなものだったからだ。3月11日が訪れるまでは。現在では、日本列島にかかる歪みがあまりに大きく変化しすぎて、もう発生確率がどうなっているのか知ることはできない。それは、関係機関による再評価を待たねばならない。14%。低い数字に思えるかもしれない。これがプレート境界地震であれば、14%はものすごく低い確率だ。しかし、活断層地震では、14%はいつ来てもおかしくない高い確率となる。ちなみに、阪神・淡路大震災前の六甲・淡路島断層帯の地震の発生確率は、「30年以内で0.02〜8%」。そして起きたのが、あの大震災だった。
糸魚川-静岡構造線。文字通り、東日本と西日本を分けて走っている構造線。しかし、私は何度学んでも、その構造線と糸魚川-静岡活断層系、そしてフォッサマグナの区別がきちんとついていなかった。まるで別なものだと言うのに。フォッサマグナはいくつもの県を含む地帯であること、糸魚川-静岡構造線はその西縁にあたる。そして糸魚川-静岡活断層系は、構造線の周囲の弱い地質に沿ってどんどんできるたくさんの断層を含んだものを指す。
この本は、主に信州大学の先生方によって書かれている。皆さん、長年研究に携わってこられた方々だ。しかしこの本は、専門的でありながら、できうる限り私のような素人にもわかるように書かれている。断層や地質に関する図も豊富で、過去に起きた地震、地殻変動、災害に備えたまちづくりに至るまでしっかりと書かれている。この本は私にとって大切な1冊となった。