風邪の効用 (ちくま文庫)
肉食の欠点、良い点、ビーガン(動物性の食べ物を一切取らない人)の欠点、良い点が偏ることなく書いてあり、一方的な意見を述べてありません。しかしながら、総合的に見る限り肉食を控えるべきだということがわかります。
クジョー [DVD]
原作は読んだことがありませんが、テレビでなにげに放映されているのを観て、おもわず引き込まれました。狂犬病の犬と、一台の車と、その中の母と子だけで1本の映画になってしまうなんて、相当の演出の技量がなければ出来ない事です。子供の泣き叫ぶ声とあの演技がドラマをさらに怖いものにしていた。ナイス・キャスティング。エンディングは原作ではハッピーエンドじゃなかった(?)みたいですけど、あれだけ怖い思いをすれば充分という感じです。 シンプルなストーリーなのにすごく怖かった。
厚労省と新型インフルエンザ (講談社現代新書)
09年世界をそして日本を襲った「新型インフルエンザ狂想曲」から何を学ぶのかの視点から本書を読むことをお勧めしたい。
著者の木村盛世氏は、現職の厚労省検疫官であり米ジョンズ・ホプキンズ大学で公衆衛生学・疫学を学んだ医師である。その木村氏が観察し巻き込まれた厚労省の迷走とキャリヤ採用の医系技官の無知と技官集団の権益維持を優先した行動が赤裸々に描かれる。
木村氏は、本書で読者に疫学の解説・啓蒙を試みる。この試みは、情報操作に踊らされるメディアと国民に対し、科学的な見方と思考の方法を提供する。
本当に恐れなければならない「バイオテロ」や強毒性の「新型インフルエンザ」の出現の前に、行政・メディア・国民が疫学へのスタンスを変えなければならない。
木村氏の今後の厚生労働省内での処遇とともに、注目して頂きたい一冊です。
眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎
原題は「The Family That Couldn't Sleep -A Medical Mystery-」
眠れない一族、致死性家族性不眠症の紹介を皮切りに、
未だに謎の多いプリオンタンパク質に関する事柄が
上手くまとめられています。
邦題に、原題には無い「食人の痕跡」だの「殺人タンパク」だのを付け加えたり
「A Medical Mystery」を「医学推理小説」と訳して、
それを帯や巻頭に載せているせいで、随分と損をしていると思います。
特に帯の煽り文句が良くない。(このページの画像には載っていませんが)
『クールー病、スクレイピー、狂牛病、致死性の不眠症…をつなぐ鎖とは?
80万年前の食人習慣がすべての始まりだった!?』
って、全くそんな内容の本ではないじゃないですか。
私は人から薦められて購入したのですが、
表紙の怪しげな雰囲気の絵のせいもあって、
「牛や羊の病気のはじまりが、80万年前の食人習慣?」
「推理小説?ダヴィンチ・コードとかの類?」と少し不安で、しばらく放ってありました。
店頭で見かけただけならおそらく購入しなかったでしょう。
ちなみに、描かれている「謝肉祭でペスト医の扮装をする人」は
本筋と関係のないところで、ちょろっと出てくるだけ。
食人に関する記述も最後の推論の数ページ。
そんなところを膨らませて無理矢理怪しげな演出しなくたっていいのに。
良い内容なのに勿体無い。