公会計革命 (講談社現代新書)
経済学には、経済データと結びついた計量モデルがあって、原因となる
経済量を変化させるとき、目的の変数の変化を計算しようとする。たとえ
ばケインズの投資関数の場合は、一定額の投資を実施すれば、投資乗
数を媒介にして、国民所得の増加が計算できる。
著者のいう「国ナビ」は、国民経済計算体系を中核として、政策プロジェ
クトごとの予算計画、波及効果を計算できる経済モデルを組み合わせた
財政計量モデルである。
租税収入を出発として、あらゆる予算項目、国富の増減、政策の効果、赤
字公債、建設公債、年金収支、国債残高の関係がモデル化され、相互関
連が数量化されている。
国民ひとりひとりの納める税金が、どのプロジェクトにどう使われるか、
年金にどう使われるかが計算できるし、それぞれのプロジェクトを拡張した
り削減することで、国家の財政がどう変わるかが、算定される。
著者によれば、2004年に、中央省庁と全国3300の地方公共団体の
予算編成を自動的に処理できるコンピュータシステムができあがったそう
である。
このシステムの基本構造が、この本で解説されている。市民の一人として、
読まないではいられない。こういう本である。
このほかに、市民と国との関係、また市民と財政との関係についてのきわめ
て重要な指摘がなされている。
公会計―国家の意思決定とガバナンス
公会計革命に続いて本書も読ましていただきました。
公会計を学びたいものにとってはバイブルとなるような書物だと思います。
丁寧に脚注もつけられ、参考文献等もあげられており、ますます公会計を学ぼうという意欲がわいてきました。
筆者の公会計を多くの人に知ってもらいたいという熱意が伝わりました。